2011 Fiscal Year Annual Research Report
魚類におけるアミノ酸代謝の制御機構に関する基礎研究
Project/Area Number |
22780194
|
Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
長阪 玲子 東京海洋大学, 海洋科学部, 助教 (90444132)
|
Keywords | アミノ酸代謝 / TOR / PPAR / ラパマイシン |
Research Abstract |
魚類は糖の利用効率が低く,生体エネルギー生産におけるアミノ酸への依存度が高いことが予想されるが,アミノ酸の代謝を制御する経路についての研究は皆無に近い.本研究では,哺乳類においてアミノ酸代謝制御の起点の役割を果たしていると考えられているTOR(target of rapamycin)とPPARs(peroxysome proliferator-activated receptors)による脱アミノ反応の作動について検討した.マスノスケ発眼胚体由来CHSE-214においてTORの阻害剤であるラバマイシンを投与し,哺乳類でPPARおよびTORの制御に関与していると考えられているAKT,ERKの発現をタンパク質レベルで評価した.その結果,魚類のTORのリン酸化は阻害され,PPARs発現量は上昇したが,AKT,ERKには有意な差は見られなかった.また無血清培養で48時間後にALTのmRNA発現量が有意に増加したが,アランンを投与した区ではALTの上昇は見られなかった.このことから飢餓状態になるとALTの活性が上昇し,アラニンをエネルギーとして使っている可能性が考えられた.また,TORリン酸化を抑制すると考えられているオリザノールをニジマスに給餌し,急性摘出した肝臓のTOR,PPAIRs,その下流である4E-BP1のタンパク質発現量を評価した.その結果,8週間の飼育試験でリン酸化TORが抑制され,PPARsの発現量が上昇することが明らかになった.また,4E-BP1のリン酸化は抑えられた.魚類TORシグナル伝達経路ではインスリン成長因子経路よりもタンパク質合成における翻訳機構のほうが影響を受けることが考えられた.また,飼育実験ではオリザノールによる飼料効率の改善がみられ,本研究の大命題でもある養殖におけるタンパク質固定の効率化に新たな知見をもたらすものと考えられた.
|