2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22780195
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Research Institution | Fisheries Research Agency |
Principal Investigator |
今村 伸太朗 独立行政法人水産総合研究センター, 中央水産研究所・水産物応用開発研究センター, 主任研究員 (80510007)
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Keywords | オートファジー / ゼブラフィッシュ |
Research Abstract |
海産魚の浮遊性卵は日周運動として垂直分布が変化することが知られており,浮力調節は生存適応戦略に関わる重要な生理機能であると考えられる。マツカワ,ニホンウナギ等では卵黄タンパク質の分解によって生じたアミノ酸を浸透圧調節に利用することが明らかにされている。そこで,ヒラメ受精卵に光(400-4300 Lux)を照射し,オートファジーの誘導性及び遊離アミノ酸量の変化を調べた。ヒラメ仔魚は光および紫外線照射によって体内の浸透圧および遊離アミノ酸量が上昇し,オートファジーが誘導された。仔魚の比重(NBS)は,非照射区では艀化直後までは低く,艀化20時間後に上昇したが,光照射によって艀化直前から艀化20時間後まで上昇し,光に対する応答は発生段階特異的であることが分かった。オートファジーに関わるリソソーム分解系の阻害剤Leupeptin,E-64およびBafilomycin A1を飼育水中に投与すると光照射に関わらずNBSの低下が見られた。また,オートファジーを活性化するRapamycinを添加するとNBSが上昇した。これらの反応はc-Jun N-terminal kinase(JNK)阻害剤SP600125によって濃度依存的に抑制されたことから,JNKを介するシグナルによってオートファジーが活性化されることが明らかになった。以上からヒラメ仔魚は光応答性オートファジーによって浮力調節を行っていることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
魚類におけるオートファジーの機能性及び誘導性に関する分子機構の解明を目的としており,当初の予定どおり研究成果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
オートファジー制御因子として細胞分裂周期遺伝子CDC48を見出したが,この分子がユビキチン・プロテアソーム系とオートファジーの役割分担をどのように行っているのか明らかになっていない。そとで,それぞれの活性化機構と分解される基質に着目し,魚類胚におけるCDC48の役割を明らかにする。
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