2010 Fiscal Year Annual Research Report
農業気候変動緩和策の普及可能性と持続性に関する研究-途上国を中心として-
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22780201
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
丸山 敦史 千葉大学, 大学院・園芸学研究科, 准教授 (90292672)
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Keywords | 気候変動緩和策 / CDM / 農家行動 / 途上国 / 持続性 |
Research Abstract |
本年度は、農業の気候変動緩和策に関する情報や関連の学術論文の収集と、国別CO_2排出構造の分析、クリーン開発メカニズム(CDM)プロジェクトに関する資料の収集、および、そのデータを用いた記述的分析を行った。文献調査では、農業分野における緩和策の研究は適応策の研究に比べて極めて数が少ないこと、特に農家行動をモデル的に分析した研究が殆どないことが明らかになった。国別CO_2排出構造については、対数平均ディビジア(LMDI)法を用い、CO_2排出量上位の26ヶ国を対象に分析を行った。分析結果は、アメリカ、中国、ドイツ、イギリスといった国々の排出構造のパターンは特徴的であること(その他の国々は相対的に類似していること)、理論的削減量とエネルギー価格や化石燃料依存度との間には統計的に有意な相関関係があることなどを明らかにした。CDMについては、気候変動に関する国際連合枠組条約(UNFCCC)と地球環境戦略研究機関(IGES)が集計した資料をデータベース化し、254の登録プロジェクトの傾向を検討した。その結果、登録からクレジット発行に移行できたプロジェクトはとても少ないこと、発行されたクレジットから算定される総CO_2量は計画段階で想定されている潜在的な削減量の半分以下であること、クレジットの発行数は少数の大規模プロジェクトに偏っており、大規模プロジェクトはメタン削減など特定のスキームに偏る傾向があることなどが明らかにされた。また、関連機関への聞き取り調査の結果、小規模プロジェクトの認証プロセスは簡略化されたものの、炭素クレジット獲得のための適当なスキームが利用できなかったり、登録後のモニタリングやバリデーションの作業に費用が大きかったりと、普及には課題が大きいことが明らかになった。
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Research Products
(1 results)