2012 Fiscal Year Annual Research Report
農業気候変動緩和策の普及可能性と持続性に関する研究-途上国を中心として-
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22780201
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
丸山 敦史 千葉大学, 園芸学研究科, 准教授 (90292672)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 気候変動緩和策 / リスク回避 / 農家行動 / 持続性 / 途上国 |
Research Abstract |
本年度は、まず、前年度に比国パンガシナン州で収集した稲作農家の調査資料を再検討した。単収の変動の仕方が異なる2つの農地に対する選好を調査することにより、高収量であるが収量変動リスクの高い農地を好むという意味でのリスク愛好的な農家(またはその逆のリスク回避的農家)を識別し、その特性をみたところ、稲作を主たる収入源とし、単収が高く、稲種子の育成農家であるような中核的稲作農家ほどリスク回避的な性向があり、他方で電化製品などの家財の多い農家ほどリスク愛好的な性格を持っていることが明らかになった。家財の多い農家は、恒常的な農外収入を得ている場合が多く、そのような所得構造の違いに由来する要因がリスク受容態度の差異に現れたものと思われる。更に、このリスク回避的な態度は、地球温暖化防止効果が期待される環境親和的な農法の導入に対する意識にも、部分的ではあるが影響していることが確認された。次に、リスク態度と環境親和的農業技術の採択行動との関係性についての議論を深めるため、農業を取り巻く環境が比国とは大きく異なる東アフリカのウガンダにおいて、農家への聞き取り調査を実施した。調査地区は中部に位置するKyankwanzi県と東部のIganga県であり、収集された回答は280であった。Kyankwanzi県では新品種(ネリカ)の栽培が盛んであるが、それ以外の作目構成には大きな地域間差異は見られない。多くの農家はトウモロコシと米に加えて、複数の品目を栽培している。この調査では、Holt and Laury型の手法を用いて10段階のスケールでリスク回避度を計測した。比較的新しい技術である耐寒性品種や農薬除草剤耐性品種の導入について、リスク回避的農家の方が導入の意向が強いという傾向がみられた。技術の導入に関し、フィリピンの結果と統一的な解釈を与えることが難しい点も見受けられ、次年度、再度検討する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
いくつか新たな課題が出てきており軌道修正しているが、おおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
追加の農家調査が必要かどうかを早く判断し、最終成果の取りまとめを行いたい。
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