2010 Fiscal Year Annual Research Report
生物多様性保全に配慮した農業技術の普及に関する研究
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22780207
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
西村 武司 滋賀大学, 環境総合研究センター, 特任講師 (80574029)
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Keywords | 生物多様性 / 特定外来生物 / 花粉媒介昆虫 / マルハナバチ / 農業技術 / 普及 |
Research Abstract |
まず、排水路に魚道を設置することにより水田を琵琶湖に生息する在来魚の繁殖場所とする滋賀県における生物多様性保全に配慮した取り組みを事例として、この取り組みに関する資料を滋賀県農村振興課より入手した。滋賀県で普及している魚道は排水路に堰板を設けることにより排水路の水面を高く保つ方式であるため、同一の排水路を共有する複数の水田耕作者による意思決定、とくに集落レベルでの意思決定が必要となる。滋賀県内の複数の集落において聞き取り調査を実施し、この取り組みの現状と課題を整理した。その際、集落内部でのこの取り組みの位置づけが集落ごとに異なる点に注目した。既存研究で扱われる普及の対象が農家レベルでの取り組みであるのに対して、本研究では集落レベルでの取り組みの普及について考察した点が特徴である。以上より、既存の農家レベルを対象とした研究で指摘されているものと同様の要因が、集落レベルでの取り組みの普及にも影響していることがわかった。これと並行して、愛知県のトマト・ミニトマト産地において、農協および生産者に対する聞き取り調査を実施した。トマト・ミニトマトの施設栽培では、マルハナバチを使用する受粉技術が1990年代に普及した。しかしながら、日本国内で最も普及しているセイヨウオオマルハナバチは外来種であり、本種が特定外来生物に指定された2006年以降、その使用は一定の条件付きの許可制となった。この規制を受けて、セイヨウオオマルハナバチの使用を中止し、在来種マルハナバチに切り替えた生産者が存在する一方、セイヨウオオマルハナバチを継続的に使用する生産者も多く存在する。本年度のアンケート調査は、とくに後者の生産者に対して、在来種マルハナバチに切り替えるための条件を検討するために実施した。本年度はアンケート調査票の配布のみを行い、回収および分析は次年度に行うこととし、そのための事前準備を行った。
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Research Products
(1 results)