2011 Fiscal Year Annual Research Report
畜産副産物の活用・流通・取引の比較機構分析-安全な静脈流通の再構築の課題解明-
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22780209
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
豊 智行 鹿児島大学, 農学部, 准教授 (40335998)
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Keywords | 畜産副産物 / BSE / リスク管理 / レンダリング / 静脈流通 / 肉骨粉 / バイオガス / 有価財 |
Research Abstract |
これまでにBSEに感染した牛がいないオーストラリアでの畜産副産物のリスク管理制度と流通機構について次のことを明らかにした。 1.脊椎動物由来のゼラチン、乳、獣脂以外の製造物を反芻動物へ給餌することが禁止されている。これは牛由来の肉骨粉の牛への給餌は禁止されるが、豚、鶏への給餌はそうでないということであり、豚、鶏への給餌が禁止されている日本やEUと異なる。また牛由来の肉骨粉はペットフードや肥料に利用されており、EUと同じであるが、日本では禁止されている点も異なる。 2.畜産副産物のレンダラーにはレンダリング事業のみを行う主体及びと畜事業とレンダリング事業を兼ねる主体が見られる。後者は特に牛のと畜業者に多い。そのため、レンダリング事業に特化したレンダラーは牛由来の畜産副産物の多くを牛肉の小売業者から集荷している。調査したレンダラーの一つは工場での廃液を利用して、バイオガスを発生させ、自社工場で利用する電力の自給率を高めており、もう一つのと畜業兼レンダラーは工場でのバイオガス発生を計画するなどバイオガス事業への関心が高い。 3.畜産副産物の単価は、畜産副産物からの製品の市場単価に歩留まり率(製品の重量を畜産副産物の重量で除したもの)を掛けたものからレンダラーの畜産副産物の集荷に要する単位当たり輸送費用、単位当たり加工・営業管理費用、マージンを引いて計算されている。歩留まり率は畜産副産物の特性により不変であるが、製品の市場価格、輸送費用、加工・営業費用は変動する。したがって製品の市場価格が下落し、レンダラーの諸費用とマージンが上昇すると畜産副産物の価格はマイナスになることもあり得るが、調査時点では、その単価はプラスであり、畜産副産物は有価財となっていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の目的を達成するために必要な調査、情報収集、分析は着実に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
分析の精度を高めるために、追加的に情報が必要となる場合もあるが、この場合、最終年度である次年度に補足的に収集する。研究者、産業及び行政の関係者との密な情報交換により、研究を推進していく。
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