2010 Fiscal Year Annual Research Report
水田灌漑システムにおける浮遊土砂の動態およびその保全方策
Project/Area Number |
22780217
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
松井 宏之 宇都宮大学, 農学部, 准教授 (30292577)
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Keywords | 水田 / 土壌保全 / 浮遊土砂 / 灌漑システム / 水管理 / 流砂系 |
Research Abstract |
栃木県宇都宮市,沖縄県石垣市の水田を対象とし,水田および灌漑用水の水源となる河川での浮遊土砂濃度,流量を観測することにより,(1)水田における土壌流亡量の評価,(2)効果的な水管理手法の検討について検討した。しかしながら,宇都宮では測器の故障により十分な観測を行うことができなかった。そのため,石垣島での観測結果を中心に概要を整理する。 (1)二期作が行われている石垣島の水田群では,通常,一作目の荒代かき期・代かき期が1月上旬ら3月上旬,二作目の代かき期が7月下旬に行われている。代かき期には掛け流しをすることが多いため,攪拌された土壌が水尻から流出し,土壌流亡量が多くなることが確認された。また,この時期に雨があると,降雨量がわずかであっても流亡量がさらに多くなることが確認された。さらに,代かき時期だけなく,いわゆる普通期の無降雨時においても,水田からの土砂流亡が認められ,通年での土砂流亡量に対する割合が無視できない割合となる可能性が高いことが分かった。普通期の水田からの土砂流亡については,次年度も観測を継続し,定量的な流亡量の把握に努める。 (2)対象としている水田群では,粗放的な水管理が常態化していることが観察結果を通じて推察され,荒代かき,代かき作業も掛け流しに近い状態で実施されている。なかでも一作目の荒代かき期に相当する期間は2ヶ月に及び,間断的に実施される作業時に水の流出量を削減する管理を実施することができれば,土壌流亡量を大幅に削減できる。水田が必ずしも土壌保全的な土地利用形態ではない,というこれまでに得られた結果を共有することで,水田土壌の流亡の削減に貢献できる。
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