Research Abstract |
本研究は,地すべり土の残留強度定数φ_r推定における物理的鉱物学的指標の有効性とφ_rを決定づける因子に関して考察を行うものである。 多種の地すべり土を採取・収集するため,沖縄県,鹿児島県,米国等で発生した地すべりについて,事前調査を行って試料の採取・収集の準備を整え,一部は採取・収集を実施した。新たに採取した試料と過去に採取済の試料を425μmフルイを通過させ,定応力リングせん断試験を行い,多段階載荷方式(せん断速度0.01mm/min)によりφ_rを測定した。試料の物理性を把握するため,土粒子の密度試験,粒度試験(JIS A 1204法および音波処理反復法),土の液性限界・塑性限界試験等を行った。また,試料の鉱物組成はX線回折法により同定した。これらの結果を基に,φ_rと,<425μm試料全体の配向性粘土鉱物総量,石英および長石の総量との関係について整理した。試料の比表面積は,EGME(エチレングリコールモノエチルエーテル)による有機極性液体吸着法によって測定した。φ_rと比表面積との関係を明らかにし,φ_rの推定における有効性を考察した。 成果の一部であるφ_rと比表面積,せん断速度および過圧密比の関係等について,EGU General Assembly 2011 (Vienna),第50回日本地すべり学会研究発表会(静岡市),平成23年度農業農村工学会大会講演会(福岡市)および2011 GSA Annual Meeting (Minneapolis)にて発表した。また,リングせん断試験により得られたφ_rとプレカット一面せん断試験により得られたφとの関係について整理した論文がLandslide誌に,φ_rと過圧密比の関係について整理した論文がEngineering Geology誌に受理された。これらの成果は,φ_rを決定づける因子の明確化や推定手法の確立に繋がるものである。
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