2011 Fiscal Year Annual Research Report
田畑輪換導入による温室効果ガス発生量削減効果の推定
Project/Area Number |
22780222
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
藤川 智紀 東京農業大学, 地域環境科学部, 助教 (60361573)
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Keywords | 田畑輪換 / 温室効果ガス / 土壌ガス / 土壌理化学性 |
Research Abstract |
本研究の最終的な目的は、(I)田畑輪換導入のための圃場管理や農作業の変化に伴う化石エネルギー消費量の変化および(II)田畑輪換することによる圃場からの土壌炭素放出量の変化を明らかにすることである。このうち、平成23年度は研究計画に基づき、(1)田畑輪換圃場における現場測定および聞き取り調査と(2)田畑輪換導入に関する文献および聞き取り調査を行った。 (1)では、愛知県豊田市の田畑輪換圃場において営農の状況を調べた。地域のブロックローテーションの状況を聞き取りすると共に、田畑輪換を継続することによる収量や土壌、水環境の変化について聞き取りした。田畑輪換ができない、または畑作物が限定される地域についても情報を得ることができた。これまでに報告されていた様に、当該圃場においても長期間の田畑輪換の継続が地力を低下させるというイメージを有していることや、ダイズの生産量が営農上十分ではないことが明らかになった。田畑輪換の適応条件を検討するための情報が得られた。また現場での視察の結果,調査対象圃場を選定し作業者と平成24年度の調査を確約した。議論の中で土壌注の温室効果ガス挙動を解明するための調査項目として、土壌微生物に関する測定を強化する方が良いとの情報も得られた。 (2)では、文献調査によって田畑輪換導入のこれまでの歴史や現況、田畑輪換導入に伴う土壌の物理・化学性の変化について、過去の文献と最新の研究を比較し、特に土壌の理化学性の変化に注目して田畑輪換の問題点を明らかにした。また、作目の変化に伴う圃場管理や輸入量の変化に注目して、田畑輪換導入がどの様に環境負荷を変化させるかについて取り纏めた。この結果を図書(我が国における食料自給率向上への提言[PART-2]板垣啓四郎編著)にまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
東日本大震災にともなう東北地方や北関東(茨城県)の営農状況の変化および,実験協力や情報交換を予定していた研究所・大学などの研究機関の研究内容の一部変更により,現場の選定および現場測定に遅れが出ている。対象圃場については,愛知県豊田市の農家に依頼し,平成24年度の調査対象圃場を確保することができた。また,文献による研究の進行を図った。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は現場での調査と各種試算および研究の取り纏めを行う。昨年度基礎調査を行った愛知県豊田市の田畑輪換圃場において温室効果ガス(二酸化炭素およびメタン)の発生量および土壌中の存在量・移動量の測定を行う。昨年に引き続き田畑輪換導入にともなう輸出入量の変化や用水排水管理の変化が温室効果ガス放出量に与える影響を試算することを目的に,文献調査や聞き取り調査を行う。最後にこれらの結果をまとめる。
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