2010 Fiscal Year Annual Research Report
農耕地を対象としたクリンカアッシュによるハイブリッド型水質浄化システムの構築
Project/Area Number |
22780223
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
岡澤 宏 東京農業大学, 地域環境科学部, 講師 (30385504)
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Keywords | 農地 / 窒素 / 水質浄化 / クリンカアッシュ / 再利用 / 火力発電所 / 水田 / 廃棄物 |
Research Abstract |
クリンカアッシュは,火力発電所において石炭を燃焼した後に生成される石炭灰の一種である。クリンカアッシュは多孔質であるため,汚濁水の浄化作用が期待できる。本研究では,水田からの排水を対象に,クリンカアッシュをろ材に活用した時の窒素浄化能を検証した。 室内においてカラム実験を行った。実験には4種類のろ材を用意した。Sample Iはクリンカアッシュのみ,Sample IIとIIIはクリンカアッシュと水田土壌を1:3と1:3の割合で混合したもの,Sample IVは水田土壌のみである。各Sampleを塩ビ製のカラムに充填した。そして,NH4-N濃度を13mg/L,C/Nを12に調整した溶液を100~200mL/dの流量で121日間,カラムに供給した。カラムから流出する溶液の窒素濃度を測定した。さらに,実験の前後で,各Sampleに吸着した窒素を測定した。 Sample IとIIは,実験期間を通じてカラムからの流出水の濃度が流入水の濃度よりも常に低く,クリンカアッシュによる窒素を除去する効果が認められた。一方,Sample IIIとIVでは,通水実験の初期にカラムからの流出水の濃度が流入水の濃度よりも極めて大きかった。その後,時間の経過とともに流出水の濃度も減少したものの,流入水の濃度を常に上回っていた。通水実験の前後で水田土壌に含まれる窒素量を測定したところ,実験後に土壌中の窒素量が減少していた。水田土壌の含有が大きいSample IIIとIVに通水することで,土壌中の窒素が流出したため,流出水の濃度が流入水を上回ったと推察した。このことから,クリンカアッシュよりも水田土壌が多く含有する場合,クリンカアッシュの窒素除去よりも土壌からの窒素流出が卓越することがわかった。
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Research Products
(5 results)