2012 Fiscal Year Annual Research Report
ストロンチウム安定同位体と元素分析による灌漑農地の塩分起源の同定
Project/Area Number |
22780225
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
久米 崇 愛媛大学, 農学部, 准教授 (80390714)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 塩分起源 / ストロンチウム安定同位体 / 灌漑農地 / 乾燥地域 / 塩性土壌 |
Research Abstract |
本研究は、乾燥地域おいて塩性化が発生している灌漑農地の水・塩分管理について、塩分起源を考慮した灌漑排水の手法を開発するためのものである。中心課題は塩分起源の推定である。ここでは、特に灌漑ブロックの排水に着目し、ストロンチウム安定同位体比を軸として、塩分起源の定量的な分析を行った。その結果、特に次のような結果を得た。 1) 87Sr/86Sr同位体比(以下Sr比)の値は、排水中に含まれると想定していた灌漑水、肥料、海水で明確に異なる値を示した、2) 海水のSr比は文献の通り季節に関係なくほぼ均一で0.70917であった、3) 灌漑水のSr比は季節によって若干変動があり、0.76851~0.70876であった、4) 排水のSr比は季節によって、また採取地点によって大きな差があった。特に、冬期における排水のSr比は排水ブロックによって明確な差が認められた、5) 冬期における排水のSr比は3つの幹線排水路において、それぞれ0.70854、0.70843、0.70835であった、6) 肥料分のSr比はサンプル中もっとも低く、0.70817であった、8) 混合モデルを用いた結果、塩分としてのSrの起源は、灌漑ブロックによって大きく異なった、9) いまだ海生起源の塩分が残る灌漑ブロックでは、塩分中における灌漑水:肥料分:海水の割合は9%、64%、27%で、排水改良や除塩作業が進んだブロックでは、その比が3%、87%、10%となっていた、10) 以上の結果から塩性化した灌漑農地の塩分起源は、特に冬期における幹線排水路の末端における排水サンプルの分析により、その灌漑ブロックの塩分起源の傾向を明らかにすることができることがわかった。これらの成果を用いれば、排水改良や除塩作業の内容や優先順位を決定でき、塩分起源を考慮した灌漑排水手法の開発に役立てることが可能であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)