2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22780230
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
井原 一高 神戸大学, 大学院・農学研究科, 助教 (50396256)
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Keywords | 抗生物質 / 磁気シーディング / 磁気分離 / 畜産廃水 / 動物用抗菌剤 |
Research Abstract |
畜産廃水・廃棄物に残留する動物用抗菌剤の除去法として,磁気分離法の確立を目指した。動物用抗菌剤の磁化率は小さいために磁気シーディング(磁性付与)が必要である。動物用抗菌剤には,金属イオンと錯化合物を生成する性質を持つものがある。そこで,電気化学反応によって鉄イオンを溶出させる磁気シーディング法を検討し,畜産廃水に含有する動物用抗菌剤の選択的な分離を試みた。 テトラサイクリン系抗生物質およびフルオロキノロン系合成抗菌薬を対象とした場合,除去率に差があるものの,いずれも投入電気量の増加に従って除去率が増加する傾向にあった。除去率の差は鉄イオンと結合する官能基が異なるためと考えられた。テトラサイクリン系抗生物質の吸着は,ラングミュア型の挙動を示した。搾乳施設排水に含有する抗菌性物質の分離を試みたところ,合成廃水と比較すると除去率が低下し,特に鉄イオンに対して配位子として働く共存物質の影響が示唆された。 ネオジム磁石を用いた磁気分離装置を試作し,テトラサイクリン系抗生物質の連続分離を行った。添加する強磁性物質の性状や磁気フィルタの形状の影響について検討し,永久磁石による限られた磁場空間を生かす分離装置の設計指針を得た。 本手法は,対象物質と金属イオンとのキレート結合を利用した選択的な分離法を提唱するものである。医薬品が対象の場合,金属イオンとの反応に関する情報は薬物相互作用として添付文書から入手が容易であり,本手法の汎用性は高いと考えられる。
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Research Products
(4 results)