2010 Fiscal Year Annual Research Report
反すう家畜の代謝障害予防をめざしたアシドーシス誘発高リスク菌株の特定
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22780238
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小池 聡 北海道大学, 大学院・農学研究院, 助教 (90431353)
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Keywords | ルーメンアシドーシス / Streptococcus bovis |
Research Abstract |
反すう家畜のルーメンアシドーシスはルーメン細菌Streptococcus bovisの異常増殖によりを誘発される。そこで、ルーメンアシドーシス誘発リスクが高い菌株に関する基盤情報を得るための第一歩として、様々な動物種よりStreptococcus bovis菌株を分離培養し、遺伝的および生理的多様性を明らかにした。具体的には、ウシ(肥育後期の黒毛和種およびホルスタイン乾乳牛)、ヒツジ(濃厚飼料多給および粗飼料多給)および野生エゾシカ(冬季の知床地域に生息)から採取したルーメン液から各サンプル10菌株、合計53菌株のグラム陽性球菌を得た。各菌株の16SrDNA塩基配列を解読し、簡易同定を行ったところすべてStreptococcus bovisと同定され、菌株間の塩基配列相同性は98~100%であった。これらの菌株について、PCRによるゲノムフィンガープリンティング解析を行ったところ、菌株間で遺伝的に多様であることが明らかとなった。一方、遺伝子型をもとに作成した系統樹において、供試菌株は宿主の動物種ごとにクラスターを形成した。これは本菌種の遺伝子型は動物種ごとに異なる可能性を示している。アミラーゼ活性および乳酸産生量は分離源の動物種を問わず供試菌株ごとに異なり、特にアミラーゼ活性においては活性の最高値と最低値の間に10倍以上の開きがあった。このことから、デンプン分解への関与の程度は菌株により異なるものと考えられる。アミラーゼ酵素遺伝子の塩基配列を調べたところ、菌株間で異なることが明らかとなった。 以上、22年度の試験では宿主動物種ごとに遺伝子型の異なるS.bovisが分布し、アミラーゼ活性は菌株間で異なることを明らかにした。異なる分離源から得た50菌株以上の比較を行った研究は過去になく、S.bovisの抑制に向けた貴重な基礎データが得られた。
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Research Products
(3 results)