2010 Fiscal Year Annual Research Report
ニワトリ幼雛における脳内興奮性神経伝達を介した代謝制御機構解明
Project/Area Number |
22780240
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
友永 省三 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教 (00552324)
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Keywords | ニワトリ幼雛 / 脳 / 興奮性神経伝達 / 代謝 / 生後発達期 |
Research Abstract |
ニワトリ幼雛において、興奮性神経伝達修飾物質の脳内投与による摂食行動への応答は、成長やストレス感受性が大きく異なる肉用種と卵用種に明らかな違いが認められている。このことは、これら系統間における脳内興奮性神経伝達制御機構に違いがあることを示唆している。そこで、成長やストレス感受性と関連する代謝が脳内興奮性神経伝達により調節されるという仮説を立て、検証することにした。これまでの摂食行動における報告から、興奮性神経伝達修飾物質への感受性が高いことが示唆されている卵用種を用いた。まず、ニワトリ幼雛(6日齢)におけるNMDA受容体拮抗薬の脳室内投与が、直腸温、脳内モノアミンおよび血中のミネラル、糖および脂質代謝関連物質に及ぼす影響を調べた。NMDA受容体の拮抗薬投与により、血中グルコースが有意に増加した。したがって、脳内NMDA受容体は糖質代謝に影響を与えることが明らかとなった。一方、直腸温、脳内モノアミン含量およびその他の血中生化学成分には影響を与えなかった。そこで、更なる生理学的作用機構解明のため、幾つかの内因性NMDA受容体調節物質分析系の確立を試みた。その結果、D-アスパラギン酸およびD-セリン定量系の確立に成功した。そこで、これら物質のラット、マウスおよびニワトリ幼雛における脳内含量を分析したところ、げっ歯類に比して、D-セリン含量が著しく低いことが判明した。したがって、ニワトリでは、げっ歯類とは違う作用機構でNMDA受容体の機能調節が行われている可能性が示唆された。以上より、NMDA受容体による糖質代謝改変の作用機構の更なる解明とともに、げっ歯類において認められている脳内NMDA受容体調節物質が、ニワトリ幼雛において生理機能を有するのかを検証する必要性が示唆された。
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Research Products
(10 results)