2011 Fiscal Year Annual Research Report
CLAを介した赤肉産生機構の解明?ミオスタチンとレプチンのクロストーク作用?
Project/Area Number |
22780242
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
小笠原 英毅 北里大学, 獣医学部, 教育系技術職 (30535472)
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Keywords | 畜産学 / 組織・細胞 / 自給粗飼料 / 放牧 / 日本短角種 / 北里八雲牛 / 筋線維型 |
Research Abstract |
本研究は放牧および自給粗飼料による赤肉生産の学術的基盤の構築を目的とし、共役リノール酸(CLA)が骨格筋細胞におけるレプチンとミオスタチンのクロストーク作用に及ぼす影響に焦点を当て、赤肉産生システムの詳細を解明する。23年度は育成期の日本短角種牛(N)および北里八雲牛(N×サレール種(S)×N)を放牧区、舎飼区に分け(試験期間:6月~11月)、増体および血液性状(AST、γ-GP、T-CHO、NEFA、TG、BUN、Ca、P、Glu)を解析した。 また、試験開始から2ヶ月間隔で最長筋よりパイオプシー法で筋組織を採取し、筋分化関連遺伝子(Myf5、MRF4、myogenin、MyoD、myostatin)の発現を解析した。さらにウシ培養筋芽細胞(日本短角種最長筋由来)を用いて筋管分化誘導時における9(c),11(t)-CLAおよび放牧時に採取した血清による刺激試験を行い、筋分化特異的遺伝子の発現を解析した。 試験期間中の日増体量は放牧区で有意に高く、血液性状ではAST、T-CHO、NEFA、BUNが有意に高かった。また、筋分化関連遺伝子の発現は両区で有意な差は認められなかったが、放牧区でミオスタチンレセプターであるActRIIBおよびレプチンレセプターであるOBRbの発現が低く、slow-myosinの発現が有意に高かった。筋管分化誘導時では9(c),11(t)-CLA刺激で筋管形成が抑制傾向を示し、血清刺激で筋管形成を有意に促進した。また、分化誘導時にActRIIBおよびOBRbの発現が著しく増加した。本研究より筋管形成過程においてミオスタチンとレプチンのクロストーク作用が存在し、CLAが筋管形成に影響を与えること、また、放牧時の血清中に筋管分化を促進する新規因子が存在する可能性が示唆された。これらの成果は放牧など自給粗飼料による赤肉生産の学術的基盤の構築に繋がる。
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Research Products
(8 results)