2010 Fiscal Year Annual Research Report
LCAを用いた肉用種繁殖牛の放牧新技術に関する環境影響評価
Project/Area Number |
22780247
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
堤 道生 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 近畿中国四国農業研究センター・粗飼料多給型高品質牛肉研究チーム, 主任研究員 (70373248)
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Keywords | LCA / 広域連携周年放牧 / 耕作放棄地 / 再生イネ / 飼料イネ立毛放牧 |
Research Abstract |
肉用牛繁殖システムに関する環境影響評価モデルのアウトフレーム構築を行うとともに耕作放棄地への放牧導入における環境影響低減効果を試算した。加えて、中国地方におけるひこばえ(再生イネ)生産量の調査を行った。 維持期の繁殖牛を1ヶ月間、舎飼い下と放牧下それぞれで飼養したときの環境影響評価を行ったところ、放牧を導入することで、舎飼い下では粗飼料の生産や輸送で排出されていたCO2、NOxおよびSOxのほとんどが削減されることが示された。一方、糞尿処理時に多く放出されていたNH3は大幅に削減されたが、それに代わりN20が増加していた。CH4はその多くが牛の消化管に由来しており、また放牧下で採食量が増加することを想定したため、わずかに増加していた。この時の地球温暖化、酸性化および富栄養化の低減割合はそれぞれ11.8%、45.1%および40.6%であった。エネルギー消費は、舎飼い下では粗飼料の生産や輸送、糞尿処理で発生していたが、放牧導入によりそのほとんどが不要となり、その結果98.2%が低減された。さらに、舎飼いによる繁殖システムと放牧を導入したシステム(それぞれの繁殖周期14ヶ月および12ヶ月)の子牛1頭あたりの環境影響評価を行った。繁殖周期を14ヶ月とした場合、放牧導入の環境影響低減効果は地球温暖化、酸性化、富栄養化およびエネルギー消費それぞれで1.7%、7.0%、6.1%および10.6%であった。また、繁殖周期を12ヶ月に短縮した場合、放牧導入の環境影響低減効果は同様に2.9%、11.6%、10.2%および17.5%であった。このように、放牧導入の環境影響低減効果はエネルギー消費で最も高く、次いで富栄養化、酸性化、地球温暖化の順であった。さらに、繁殖周期の短縮と季節繁殖による放牧期間の延長が、環境影響低減に効果的であることが示された。 ひこばえ生産量は地域、圃場あるいはイネの品種により値のばらつきが大きく、調査の継続および調査地の追加が必要と考えられた。
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Research Products
(1 results)