2010 Fiscal Year Annual Research Report
体細胞クローンにおけるゲノムリプログラミングへのヒストン変異体置換の関与
Project/Area Number |
22780250
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
秋山 智彦 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特任研究員 (20570691)
|
Keywords | 発生・分化 |
Research Abstract |
体細胞核移植クローン胚作成において、移植された体細胞ゲノムは全能性のある状態に再プログラム化されるが、そのメカニズムについてはほとんど明らかにされていない。ゲノム構造の最小単位であるヌクレオソームを構成するヒストンの種類や組み合わせは、ゲノムの高次構造の多様性を生み出し、哺乳類細胞の個性を決定する大きな要因の一つといえる。したがって、細胞の性質が大きく変化するゲノム再プログラム化の際には、コアヒストンとその変異体の置換がダイナミックに起こると考えられる。 平成22年度では、核移植を行った体細胞核(ドナー核)に存在するコアヒストンおよびその変異体の動態を解析した。 H3変異体 H3.1、H3.2、H3.3について調べた結果、ドナー核のヒストンはどれも核移植後、凝集した染色体の状態では維持されていた。しかしながら、活性化刺激により核膜が形成されると、すべてのH3変異体はドナー核から消去されていることがわかった。 H2A変異体 H2A、H2A.Z、H2A.Xについて調べた結果、H3変異体と同様にドナー核のヒストンは核移植後の凝集した染色体に維持されていた。活性化後に核膜ができるとH2AとH2A.Zはドナー核から消去されていた。一方、H2A.Xだけは活性化後もドナー核に維持されていることがわかった。 以上の結果により、体細胞核のヒストンのほとんどは核移植後に消去されることが明らかとなった。このことは体細胞核が全能性を獲得するためのゲノム再プログラム化機構にヒストン変異体の置換が関与していることを示している。
|