2011 Fiscal Year Annual Research Report
卵丘細胞を標的とした卵子成熟促進因子の探索とその卵子成熟培養法への応用
Project/Area Number |
22780251
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
山下 泰尚 県立広島大学, 生命環境学部, 准教授 (50452545)
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Keywords | 卵丘細胞 / 体外成熟培養 / 卵子 / 卵丘細胞 / 顆粒層細胞 / 産業動物 |
Research Abstract |
ウシ、ブタをはじめとする家畜において、食肉処理場由来の未成熟卵子を取り出し、体外成熟培養とそれに続く体外受精により個体を作出することは、家畜の効率的増産の観点から重要な技術である。しかし、体外で成熟した卵子の発生能と比較して低いことから、今で不十分な技術と言える。哺乳動物では、卵子は卵胞の中で成熟し、排卵され、精子との受精後に個体へと発生する。この卵子の成熟・排卵過程は、下垂体由来のFSHとLHにより調節される。これらの受容体は、卵子やそれを取り囲む卵丘細胞にはほとんど存在せず、最外壁の顆粒層細胞に存在することから、顆粒層細胞を介した分泌因子が卵丘細胞や卵子を刺激する結果、卵子成熟・排卵が誘導されると理解されている。本研究では、顆粒層細胞由来分泌因子を探索し、それを卵手成熟培養法に応用することを目的として、以下の成果を得た。(1)ブタ卵丘細胞のERK1/2が著しく活性上昇する(2)EGF-likefactorとADAM17のcAMP系を介した発現上昇が必須である。(3)ERK1/2が卵子成熟.排卵過程において持続的に活性化されるためには、ERK1/2依存的に分泌されるProgesteroneあるいはPGE2が必須である。(4)細胞膜貫通型タンパク質のEGF-likefactorの切断に必須のADAM17の酵素活性が、PKCにより活性化されるSrcと結合することに上昇する。以上の結果から、卵成熟期において、上記の一連の反応が連続的に生じる結果、卵丘細胞を介した卵成熟が誘導されることを本研究により始めて明らかにした。
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