2010 Fiscal Year Annual Research Report
鳥類の受精成立に関わるカルシウムオシレーションパターンと過剰の雄性前核形成
Project/Area Number |
22780254
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
水島 秀成 早稲田大学, 人間科学学術院, 助手 (20515382)
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Keywords | IP_3受容体 / ウズラ / カルシウム / PLCZ / 卵子活性化 |
Research Abstract |
脊椎動物の卵子は、精子の侵入後、細胞質内カルシウムの一過性の増加を引き起こすことで、活性化(卵子活性化)とその後の雌雄前核融合・胚発生を開始する。一方、鳥類では前核形成を誘起する物質として精子由来卵子活性化因子、フォスフォリパーゼCゼータ(phospholipase Czeta : PLCZ)が単離されているため、そのmRNAをウズラ未受精卵に顕微注入した。注入後20分にカルシウム増加反応が観察され、その後の前核形成が誘導された。イノシトール1,4,5三リン酸(IP_3)を注入した場合も、同様なカルシウム反応が起こった。対照的に、緩衝液を注入したウズラ卵子では、カルシウム増加反応は観察されなかった。またカルシウム反応が消失した時のIP_3受容体の発現解析を行った結果、緩衝液を注入したウズラ卵子では検出されたが、PLCZ mRNAまたはIP_3を注入した卵子では、そのバンドは検出されなかった。更にPLCZ-GFP融合タンパクを作製してPLCZの発現動向を観察したところ、カルシウム反応が消失した時に、前核へ移動し卵細胞質から消失した。これらのことから、精子由来PLCZによって誘起される卵細胞質内カルシウムの増加反応がトリガーとなって鳥類の卵子活性化が誘起されることが示唆された。またこのカルシウムは、IP_3受容体を介して放出された小胞体に由来するものであり、その放出は、IP_3受容体の発現レベルによって調節されている可能性が考えられる。
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