2011 Fiscal Year Annual Research Report
多元的神経活動解析によるシクロオキシゲナーゼ-2依存的ストレス応答経路の解明
Project/Area Number |
22780260
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松脇 貴志 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特任助教 (20447361)
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Keywords | ストレス / 生理学 / 神経科学 |
Research Abstract |
生体がストレスに曝されると、その情報が脳内で処理された結果神経内分泌系のストレス反応が引ぎ起こされる。本研究は、脳内での新たなストレス伝達経路として期待されるシクロオキシゲナーゼ-2(COX-2;プロスタグランジンの誘導型合成酵素)を介したストレス種非特異的な脳内情報ネットワークを明らかにすることを目的としている。 本研究では1,急性ストレス時の視床下部におけるストレス関連遺伝子発現量の経時的測定/2,幼児期慢性ストレスが成熟後の脳機能に与える影響の解析を行った。なお1については昨年度までの大脳皮質、海馬も含めた解析の結果に基づいて、今年度は視床下部のみに焦点を当てて行った。 研究1では副腎を除去する事により本来ストレス時に血中で増加する内因性グルココルチコイドをもたないラットを用いて非除去ラットと比較した。さらに、副腎摘出ラットにストレスレベルのグルココルチコイドを補充する群も加えて比較した。実験2では離乳(3週齢)から性成熟(8週齢)までの間数種の実験的栄養環境下に置かれたラットを、成熟後に行動実験に供した。 その結果、1,感染・低栄養・拘束という3種類のストレス条件下においてCOX-2の発現を促す因子の候補としてIL-1βが同定された。またこれらの条件下におけるIL-1βの発現はストレス時に増加するグルココルチコイドによって抑制されることが明らかとなった。同様の解析を行った代表的なサイトカインであるTNFαおよびIL-6では、このような傾向は見られなかった。2,離乳から性成熟までの間スクロース水摂取による過栄養環境におかれた個体では不安傾向の有意な減弱が見られた。さらにこの影響にはスクロースの甘味が引き起こす快情動は関与しない事が明らかとなった。
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