2011 Fiscal Year Annual Research Report
血管新生におけるEph/ephrinシグナルの機能解析
Project/Area Number |
22780262
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
石井 万幾 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 助教 (50415535)
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Keywords | Eph/ephrin / 血管新生 / 血管内皮細胞 / マクロファージ |
Research Abstract |
本研究は、血管新生時の白血球の血管内皮細胞への接着や血管外浸潤に対するEph/ephrinの機能を解析することを目的としており、今年度は昨年度に作製した遺伝子発現抑制用のレンチウイルスベクターの有用性の確認と、血管内皮細胞および血球系細胞を用いて種々の解析を行った。血球系細胞であるJ774.1を用いて、レンチウイルスの感染を試みたところ感染がみられたため、生体を用いて感染の確認を行った。しかしながら、生体組織へのウイルス感染力の激減が見られたため、ウイルス注入の方法改善や高感染力ウイルスの生成を試みている。in vitroでの解析として、Ephないしephrinをディッシュ上に縞状にコートし、J774.1および成体マウスより採取したマクロファージのディッシュへの接着性を確認した。その結果、これらの血球系細胞はEphおよびephrinに高い接着性を有することが明らかになった。さらに、それらの接着は突起を伴ったものであり、突起内部には密なアクチン線維が観察された。次に、血管内皮細胞におけるEph/ephrinシグナルによる細胞動態を確認するため、Ephないしephrinが吸着したビーズを血管内皮細胞であるHUVECに添加し、タイムラプスで観察を行った。その結果、ephripが吸着したビーズについてはHUVECの一過性の膜退縮が見られ、その後、ビーズに対応する形状で細胞内にアクチン線維が観察された。これらのことから、Eph/ephrinシグナルによって、血球細胞側では偽足の形成、血管内皮細胞側では膜退縮による細胞間隙の開大が起こり、血球が血管内皮細胞間を通過する遊走経路を形成すると考えられる。
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