2011 Fiscal Year Annual Research Report
精原幹細胞の維持ならびに分化におけるホメオドメイン転写因子Meis1の役割
Project/Area Number |
22780264
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
河合 康洋 東京理科大学, 生命科学研究所・発生および老化研究部門, 助教 (00416281)
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Keywords | HOX共役転写因子 / 精子形成 / 精原幹細胞 |
Research Abstract |
精子形成は、精原細胞の増殖および分化、精母細胞における減数分裂を経て、半数体の精子細胞、機能的な精子への形態変化へと進行していく。しかしながら精原細胞の幹細胞性維持機構や分化制御に関わる転写制御機構については、未だ知見が乏しい状況である。本実験計画は、Hox共役転写因子であるMeislが造血幹細胞の維持に寄与していると言う知見に基づき、精原細胞の維持、分化におけるMeislの機能を解析することを目的とした。 当初計画していたMeis1欠損マウスを用いた精子形成機構の解明は、用いるマウスの遺伝的背景により表現型に差異が認められ、研究計画通りに進行することが難しいことが判明した。そこでMeis1と同じファミリーに属し、精巣内で高発現するpKnox1の精子形成過程における機能解析を行った。タモキシフェン誘導的に全身性にpKnox1を欠損できるマウス(Rosa26-creER^<T2>;pKnox1^<F/F>)を用いて解析を行ったところ、精巣の大きさ、重量が共に減少し、著しく萎縮した精細管が認められた。また、精母細胞までに精子形成は停止しており、それらの細胞のアポトーシスが有意に増加していた。さらにpKnox1の生殖細胞特異的機能を解析するため生殖細胞特異的にpKnox1を欠損するマウス(TNAP-cre;pKnox1^<F/F>)を用いて解析を行ったところ、Rosa26-creER^<T2>;pKnox1^<F/F>マウスと同様の表現型が認められた。これらのことからpKnox1が生殖細胞特異的に精母細胞までの増殖および分化に寄与することが明らかにされた。これらの知見は、精原細胞の分化および増殖を制御する機構の一端を解明する一助となり、転写因子を用いたリプログラミングによる脱分化・分化転換を介した組織再生法の開発基盤となる可能性を有しているものと考えられる。
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