2010 Fiscal Year Annual Research Report
新規予防法開発に向けたアフリカトリパノソーマ原虫の細胞分化の分子メカニズム解明
Project/Area Number |
22780269
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
櫻井 達也 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教 (60547777)
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Keywords | 感染症 / 原虫 / Trypanosoma congolense / 細胞分化 |
Research Abstract |
家畜アフリカトリパノソーマ症の主要病原体であるTrypanosoma congolenseはツエツエバエによって宿主に伝播される際に、メタサイクリック型(ツエツエバエ体内型)から血流型(宿主体内型)へと分化する。本研究の目的はこの細胞分化をin vitroで再現し、その培養系を用いて細胞分化に関係する原虫蛋白質を同定し、分化の分子メカニズムを解明することである。本年度は分化誘導の条件と分化に要する時間の検討を行った。まず複数のツエツエバエ体内型ステージ虫体が混在する培養上清中から陰イオン交換カラム(DE52)を用いてメタサイクリック型のみを分離した。これをIMDMを基礎培地として、ヤギ血清を添加した血流型培養用培地に懸濁し、33℃または37℃で血流型への分化を誘導した。分化誘導中の虫体を経時的に観察した結果、33℃で誘導したフラスコでは約8時間後にはプラスチック底面に接着し分裂する血流型へと分化した虫体を確認した。血流型に分化した虫体はその後も活発に増殖し、in vitroで長期間(3ヶ月以上)維持できることが示された。しかし、分化誘導を37℃で行ったフラスコでは、底面に接着した虫体は認められたものの、その後死滅した。血流型の分化誘導と維持に用いたヤギ血清は細胞培養用の一般的な市販品(Invitrogen社)であり、試した限りではそのロットの違いによる影響は認められなかった。このことから分化誘導の成否には培養温度が重要であることが示唆された。この結果を基に、33℃で2、4、6、8時間分化誘導した虫体からそれぞれ総蛋白質を抽出した。現在これらを二次元電気泳動に供し、分化過程で発現が増加する原虫蛋白質の探索を行っている。
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