2010 Fiscal Year Annual Research Report
筋血管周皮腫形成へのパピローマウイルスの関与について
Project/Area Number |
22780272
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
畠間 真一 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 動物衛生研究所環境・常在疾病研究チーム, 主任研究員 (50360623)
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Keywords | 牛パピローマウイルス / 筋血管周皮腫 / 牛乳頭腫症 |
Research Abstract |
3年間の研究期間の初年目に当たる本年度は、様々な牛の軟部組織腫瘍を収集し、組織学的検査や免疫組織化学的検査、PCR検査、遺伝子解析などを行うことで、それぞれ腫瘍の病態解析や原因学的解析を行った。この結果、9検体の牛筋血管周皮腫(MPC)の自然発生例を世界で初めて診断することができた。診断された全ての牛MPCは、組織学的および免疫組織化学的に人MPC一致する特徴を持つことが明らかとなった。また人や、犬、ネズミにおいては悪性のMPC発生事例が報告されているが、今回診断を行った牛MPCは全て良性腫瘍と診断された。さらに、9検体全てから牛パピローマウイルス1型(BPV-1)遺伝子が検出され、BPV-1感染と牛MPC形成との関連性が強く示唆された。これらの結果は、牛MPCの形成機序解明だけでなく、原因不明の腫瘍とされている人MPCの形成機序解明にもつながる成果と考えられる。 そもそも牛MPCの原因と推測されるBPVは、本来、牛乳頭腫症の原因ウイルスである。したがって、牛MPCに関与するBPVと、牛乳頭腫症に関与するBPVの遺伝学的差異を比較検討することが次の課題となる。本年度は上述した成果に加えて、牛から様々なBPVの検出と遺伝学的解析を試み、BPVゲノムの多様性の解明、新型BPV(BPV-11、12)の検出と同定、既知BPV遺伝子型と様々な腫瘍との疫学的関連性の解析などを行い、学術専門誌や普及誌へ成果の公表を行った。 次年度以降は、牛MPCの形成機序解明を中心に研究を進める予定である。
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Research Products
(5 results)