2011 Fiscal Year Annual Research Report
難治性犬膀胱移行上皮癌に対するHERー2を分子標的とする新規治療法の確立
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22780280
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
星野 有希 北海道大学, (連合)獣医学研究科, 特任助教 (80523323)
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Keywords | 分子標的治療 / 犬膀胱移行上皮癌 |
Research Abstract |
難治性である犬の膀胱移行上皮癌に罹患した症例より腫瘍組織サンプルを採取し、腫瘍組織内におけるHER-2のmRNA発現調査をリアルタイムPCRにより、タンパク発現調査をウェスタンブロットにより実施した。調べた全症例で、今までの症例と同様遺伝子レベルおよびタンパクレベルでのHER-2発現を認めた。膀胱炎罹患症例でも同様に調査したところ、HER-2発現は認めたものの、遺伝子レベルでの発現量は移行上皮癌より低値であった。 また、樹立した移行上皮癌細胞株4細胞株を用い、in vitroにおけるHER-2抗体(トラスツズマブ)の移行上皮癌に対する抗腫瘍効果をMTTアッセイを実施し、判定した。その結果、全ての細胞株においてトラスツズマブ単独での抗腫瘍効果はほとんどないことが判明した。その他抗癌剤では、パクリタキセルが最も移行上皮癌に対する感受性が高かった。HER-2の作用機序にはADCCを介したものが報告されているため、ADCCを介したin vitroでの実験系の必要があると思われた。 樹立した移行上皮癌4細胞株をスキッドマウスの背部皮下に投与したところ、3週間ほどで腫瘍の生着を認め、経時的に腫大していくことが確認できたため、in vivoの実験も可能であると思われる。 トラスツズマブを用いた分子標的治療に関しては、人で効果が認められている炎症性乳癌症例で投与を実施した。明確な抗腫瘍効果は認められなかったが、重大な副作用も認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ADCCを介した実験系が煩雑で、効果判定までに時間がかかること、および腫瘍組織の採取および初代培養がやや困難であることから新規の細胞株を樹立するまでに至っていないことが挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在ある4細胞株をマウスに接種し、in vivoにおけるHER-2の抗腫瘍効果判定実験を実施していく。マウスに移植可能であることは確認済みである。 また、近隣の獣医師会に依頼し、膀胱移行上皮癌組織の採取につとめる。
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