2011 Fiscal Year Annual Research Report
イヌ腫瘍の新規診断マーカーmicroRNAの探索に関する研究
Project/Area Number |
22780283
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
三浦 直樹 鹿児島大学, 農学部, 准教授 (80508036)
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Keywords | 獣医学 / 臨床 / 腫瘍 / micro RNA / 腫瘍マーカー |
Research Abstract |
本研究の最終目的は、イヌ腫瘍の診断・予後・治療効果判定の分子マーカー、特に血清マーカーとしてmicroRNA分子の測定系の確立である。23年度は、乳腺腫瘍とメラノーマのイヌ特異的microRNAアレイ(miRCURY Array microRNA)結果を解析しターゲットmicroRNAを決定した。乳腺腫瘍ではこれまでに報告があるmiR-21などの上昇が再確認され、さらに腫瘍で新規にmiR-146aが上昇することも見出した。メラノーマではmiR-205の著しい発現低下が見られた。最近、miR-205はヒトメラノーマで転写因子E2F1を標的としメラノーマ細胞の増殖を抑制することも報告されている。これはmiR-205の導入をメラノーマの治療ターゲット候補として臨床応用できる可能性を支持する重要な結果である。miR-205以外にもイヌで既に報告のあるmiR-145の著しい発現低下も確認されアレイの結果の信頼性も高いと考えられた。一方で、これまでに報告のないメラノーマ特異的に発現上昇を示すmicroRNAも確認され、現在、細胞株での再現性の確認を行っている。次に本計画の重要なテーマである血清中のmicroRNAのリアルタイムPCRによる測定系が確立できた。その結果、乳腺腫瘍罹患イヌ(20例)の血清中のmiR-21とmiR-92aは非腫瘍イヌ(15例)と比較して有意(mann-Whitney検定,p<0.05)に上昇していた。この結果はmicroRNAが血清中での腫瘍マーカーとなる可能性を示している。また、リンパ節に転移を認めた症例では転移していない症例と比較して、miR-21が有意に上昇しており、microRNAが単に腫瘍の発生の診断マーカーとしてではなく、予後や病態の悪性度の指標マーカーとなる可能性も示された。
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