2010 Fiscal Year Annual Research Report
交感神経系によるアルドステロン調節メカニズムの基礎的・臨床的解析
Project/Area Number |
22780284
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
堀 泰智 北里大学, 獣医学部, 講師 (20406896)
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Keywords | 内科 / 心臓病 / アルドステロン / 線維化 |
Research Abstract |
交感神経刺激を介したレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系の全身的な相互調節機構が知られており、心不全進展の重要な因子と考えられている。また、交感神経受容体刺激は心臓のマトリックス・メタロプロテアーゼ(MMP)の発現/活性と心筋線維化を誘導することが知られている。しかし、交感神経受容体刺激を介した心臓のMMP発現調節ならびに線維化にミネラルコルチコイド受容体が関与しているのかどうかは不明である。本研究では、イソプロテレノール(ISO)が誘導するMMP発現/活性調節や線維化がスピロノラクトン(SPI)によって制御できるかどうか精査した。 オスのWistar Kyotoラットを3群に分けた(コントロール,ISO,ISO+SPI)。ISO(2.0mg/kg/日)ならびにSPI(40mg/kg/日)は14日間投与した。心エコー図検査と観血的血圧測定は投薬期間終了時に行い、心臓を切除した。心筋横断面積(MCSA)と線維化領域を病理組織学的に解析した。MMP-2とcollagen-Iの発現量はウェスタンブロット法を用いて解析した。MMP-2活性はゲラチンザイモグラフィーを用いて評価した。 コントロールに比較して、ISOによって拡張末期左心室圧とτは上昇し、-dP/dtは低下したことから心機能の低下が示唆された。ISOは左室内径短縮率と相対的壁厚を増加させた。同様に、ISOは左室重量、MCSA、線維化領域を増加させ、これらはMMP-2発現/活性ならびにコラーゲン-I発現量の増加を伴っていた。これらはISOによって心肥大ならびに心筋線維化が誘導されたことを示している。一方、SPIの併用はISOによって誘導されたこれらの作用を抑制した。 我々の結果は交感神経受容体刺激を介した左心室の線維化とMMP-2発現1活性にはミネラルコルチコイド受容体が関与している可能性を示唆している。
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