2011 Fiscal Year Annual Research Report
交感神経系によるアルドステロン調節メカニズムの基礎的・臨床的解析
Project/Area Number |
22780284
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
堀 泰智 北里大学, 獣医学部, 講師 (20406896)
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Keywords | 内科 / 心臓病 / アルドステロン / 線維化 |
Research Abstract |
平成23年度には、in vitroにおける交感神経受容体を介したアルドステロンの分泌調節機序、ならびに交感神経受容体を介したコラーゲン産生へのアルドステロン受容体の関与を解析した。 (1)交感神経受容体のシグナル伝達経路を介したアルドステロンの分泌調節機序 4週齢のラット心臓線維芽細胞を分離培養し、ELISA法を利用して培養上清中のアルドステロン濃度を測定した。(1)心臓線維芽細胞にノルエピネフリンを暴露すると、濃度依存性(10^<-4>,10^<-5>,10^<-6>M)にアルドステロン濃度が上昇した。同様に、アルドステロン濃度はイソプロテレノールの濃度依存性(10^<-6>,10^<-7>,10^<-8>M)に上昇したが、フェニレフリン(10^<-4>,10^<-5>,10^<-6>M)では変化しなかった。(2)ノルエピネフリン(10^<-4>M)によって誘導されるアルドステロン濃度の上昇はGs蛋白阻害剤(NF449;10^<-5>M)ならびにアデニル酸シクラーゼ阻害剤(SQ22536;5×10^<-5>M)の併用によってそれぞれ有意に抑制された。一方、プロテインキナーゼA阻害剤(H-89;5×10^<-5>M)、Gq蛋白阻害剤(GP antagonist-2A;10^<-7>M)、フォスフォキナーゼ3リン酸阻害剤(Wortmannin;10^<-6>M)を併用してもノルエピネフリンによるアルドステロン濃度の上昇は抑制されなかった。(3)ノルエピネフリン(10^<-4>M)によって誘導されるアルドステロン濃度の上昇はアルドステロン合成酵素阻害剤(Fadrozole;2.5×10^<-6>M)によって有意に抑制された。 (2)交感神経受容体刺激を介したコラーゲン産生におけるアルドステロン受容体の役割 心臓線維芽細胞にノルエピネフリン(10^<-4>M)を暴露すると、collagen-Iの発現量が有意に増加した。一方、アルドステロン受容体特異的阻害剤(eplerenone;10^<-5>M)はノルエピネフリンによるcollagen-I発現量の増加を有意に抑制した。 以上のことは、(1)心臓線維芽細胞において副腎外アルドステロン合成系が存在すること、(2)交感神経受容体のシグナル伝達経路を介したアルドステロンの産生・分泌機序が存在すること、(3)交感神経受容体を介したコラーゲン産生にアルドステロン受容体が関わっていることを示唆している。
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