2010 Fiscal Year Annual Research Report
犬脊髄損傷症例に対する嗅神経鞘細胞自家移植による脊髄再生療法の臨床治験
Project/Area Number |
22780287
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
伊藤 大介 日本大学, 生物資源科学部, 助手 (40508694)
|
Keywords | 脊髄損傷 / 鼻粘膜 / 脊髄再生 / OEG / 椎間板ヘルニア |
Research Abstract |
本研究では犬における自然発症の脊髄損傷症例に対する嗅粘膜由来嗅神経鞘細胞(OECs)自家移植療法のphase I(安全性評価)そしてphase II(有用性の評価)trialを目的とし、OECs移植による脊髄再生療法の臨床治験を試みた。しかし移植手技や方法の改善にも関わらず、当該年度においても適応症例が来院せず、実際にOECs移植による臨床治験を実施することはできなかった。そこで1、経皮電極に設置によるmotor evoked potential (MEP)が犬において測定可能か検討を行った。また2、脊髄疾患の予後判定法として脳脊髄液中タンパク質の解析が有用か検討を行った。1に関しては5頭の健常犬において実施したところ、MEPが測定できることが判明した。また手技による副作用を認めることはなかった。2に関しては予後判定が困難である重度椎間板ヘルニア症例において脳脊髄液中タンパク質であるmyelin basic protein (MBP)ならびにneuron specific protein (NSE)を測定することによって予後診断が可能であることが示唆された。重度の麻痺を呈する症例においてMBPならびにNSE値が高値を示す症例は予後不良であることが判明した。これらのことにより、重度の麻痺を呈する症例でこれらのタンパク質が高値を示す場合、脊髄再生療法の適応症例となりうることが示唆された。さらに1の検討によって犬においても運動機能解析を行うためのMEP測定が経皮的に実施できることが証明され、移植後の運動機能の評価に用いることができることが判明した。しかし現時点では検討した症例が少ないため、今後も症例数を増やし同研究を検討する必要がある。
|
Research Products
(1 results)