2010 Fiscal Year Annual Research Report
節水管理水田土壌中のメタン生成古細菌の群集構造解析によるメタン放出抑制機構の解明
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22780290
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
渡邉 健史 名古屋大学, 生命農学研究科, 助教 (60547016)
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Keywords | 水田 / メタン生成古細菌 / 節水水稲栽培 / 群集構造解析 |
Research Abstract |
間断灌漑水稲栽培技術の一つであるAlternate Wetting and Drying (AWD)システムは、水稲の収量の維持しつつ節水し、メタンおよび亜酸化窒素の発生を抑制しうることが期待される栽培技術である。本研究では、AWD節水水田土壌中のメタン生成古細菌群集の解析を通じて、メタン発生抑制機構を明らかにすることを目的としている。 国際稲研究所(フィリピン)で試験されている圃場を対象とした。2008年雨期作(試験開始後6作目)を対象とし、常時湛水区と、深さ15cmの土壌水分張力が-20kPaまで低下した際にのみ灌水することを基本とするAWD区の2処理区より、約1ヶ月ごとに深さ3~13cmの土壌を採取した。土壌試料よりDNAおよびRNAを抽出した後、メタン生成古細菌の16SrDNAおよび16SrRNAを対象としたPCR-DGGE、qPCR解析を行った。 PCR-DGGEの結果、16SrDNAおよび16SrRNA共に26本のバンドが観察された。共に、主要なバンドの多くは両処理区とも栽培期間を通じて観察されたが、クラスター分析の結果、常時湛水区とAWD区で試料が分かれる傾向を示した。16SrDNA数は、常時湛水区とAWD区共に作付け期間中に増減し、処理区間で有意な差が観察された(P<0.05)。16SrRNA数は、有意な差は見られなかったが、AWD区において栽培後期に減少する傾向が観察された。各DGGEバンドの塩基配列は、Methanobacteriaceae、Methanomicrobiales、Methanosarcinales、Methanocellalesに近縁であり、Methanosarcinalesが常時湛水区を、MethanocellalesがAWD区を特徴付けていることが示された。以上より、AWDによる節水管理は水田土壌中のメタン生成古細菌の群集構造と代謝活性に影響を及ぼしていることが推察された。
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Research Products
(8 results)