2010 Fiscal Year Annual Research Report
鉄系触媒を研磨剤として用いた木質系バイオマスの環境低負荷型前処理法の開発
Project/Area Number |
22780292
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
秀野 晃大 愛媛大学, 上級研究員センター, 講師 (30535711)
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Keywords | バイオマス |
Research Abstract |
本研究では、消費エネルギーを抑えつつ、高糖収率を可能にする環境低負荷型前処理の開発を目的とする。本研究では、これまで研究例が少なかった研磨剤による粉砕処理および触媒反応を組み合わせた環境低負荷型前処理の開発を行うことで、できるだけマイルドな条件下で消費エネルギーおよび発酵阻害物質の生成を抑えつつ、少量の酵素量で糖の回収率を上げることを目指している。これまで研磨剤を利用した粉砕処理の検討例は少なく、基礎的な知見が不足している。今年度は、省エネ型前処理であるディスクミル処理の粉砕効果を高めるための研磨剤として、アルミナ、酸化セリウム、酸化鉄、還元鉄の三種を用いて、乾式ディスクミル粉砕処理を繰り返し5回行い、市販セルラーゼによる糖化試験により評価した。いずれの処理においても、ディスクミル処理の回数を重ねるごとに糖化率が増加したが、研磨剤を入れない場合とアルミナ添加において最も糖収率が高く、5回の乾式ディスクミル処理で、1gのサンプルから約100mgのグルコースが得られた。しかしながら、糖化率は依然として低いため、乾式ディスクミル処理物に対し、アルカリ-過酸化水素法を組み合わせた処理の検討を行った。いずれの処理物でも糖収率が大幅に増加し、酸化セリウム添加で、1gの基質から最大で約590mgのグルコースが得られた。還元鉄を入れた場合は、他の処理に比べ常に糖収率が低かったが、固形分収率も最も低く、アルカリ-過酸化水素処理により、糖類もかなり分解されたと示唆された。条件をよりマイルドにすることで、糖収率の改善が期待される。
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Research Products
(2 results)