2011 Fiscal Year Annual Research Report
鉄系触媒を研磨剤として用いた木質系バイオマスの環境低負荷型前処理法の開発
Project/Area Number |
22780292
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
秀野 晃大 愛媛大学, 上級研究員センター, 講師 (30535711)
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Keywords | 前処理 / 糖化 / フェントン反応 / ディスクミル処理 / アルカリ-過酸化水素処理 / 鉄 / アルミナ / ナノスケール |
Research Abstract |
本研究では、消費エネルギーを抑えつつ、高糖収率を可能にする環境低負荷型前処理の開発を目的とし、これまで研究例が少なかった研磨剤による粉砕処理および触媒反応を組み合わせた環境低負荷型前処理の開発を行うことで、できるだけマイルドな条件下で消費エネルギーおよび発酵阻害物質の生成を抑えつつ、少量の酵素量で糖の回収率を上げることを目指している。今年度は、フェントン反応を出来るだけ人為的に制御し、前処理として効果的に機能させることを目的として、ヒノキを原料として、フェントン処理の至適化を行った。鉄粉または還元鉄粉と18%過酸化水素溶液の組み合わせで、70℃、21時間、200rpmの回転振とう反応し、処理物の酵素糖化試験を行ったところ、1gの基質から約423mgのグルコースが生成された。しかしながら、昨年度、乾式ディスクミル処理後のアルミナ添加のアルカリ-過酸化水素処理物1gから約590mgのグルコースが得られていることから、酵素糖化率増加の要因を探るべく、X線回折を行い、スペクトルからアルカリ-過酸化水素処理物の結晶化度を算出したところ、無処理よりも増加していた。ボールミル処理では、結晶化度の減少と伴に糖化率の増加が起こっていたが、本処理物の解析結果から、必ずしも糖化率と結晶化度の相関が取れないことがわかった。そこで、電界放出型の電子顕微鏡による観察を行ったところ、表面がナノスケールで毛羽立っており、処理物表面のナノスケールの構造が酵素糖化性に重要であることが示唆された。また、アルカリ-過酸化水素処理の後に行う洗浄及び乾燥方法によって、糖化率が増減することが明らかになりつつある。副次的な結果としては、セルラーゼに対して、鉄粉または鉄イオンの阻害効果が大きいことが判明し、フェントン反応後に鉄を除去する必要性を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
鉄粉または還元鉄と過酸化水素溶液によるフェントン反応により、酵素糖化性は大きく増加したものの、フェントン反応に必要な鉄粉または鉄イオンが、セルラーゼの活性を大きく阻害する事が判明したため、鉄粉及び鉄イオンを完全に除去する必要性が生じた。一方、アルカリ-過酸化水素処理では金属触媒がなくても、高い糖化率を得ているものの、洗浄及び乾燥法によって大きく糖化性が変化することが分かった為、新たな課題が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
上記問題が生じた為、現在、洗浄や中和工程を含めて、フェントン処理及びアルカリ-過酸化水素処理を比較検討している。本検討の次には、至適条件の元、スケールアップを行う予定である。
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Research Products
(7 results)