2010 Fiscal Year Annual Research Report
新規残留性有機汚染物質指定農薬の水田地域における長期挙動の解明
Project/Area Number |
22780296
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Research Institution | Nagano National College of Technology |
Principal Investigator |
酒井 美月 長野工業高等専門学校, 環境都市工学科, 助教 (50418688)
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Keywords | 残留性有機汚染物質 / 長期的消長 / 物質収支 / 環境挙動 / 堆積物柱状試料 / 年代解析 |
Research Abstract |
本研究では、日本でも特に広大な稲作地帯を抱える新潟市の河川流域を対象として、水田で使用された残留性有機汚染物質(POPs)の流域圏における挙動、特に水域への流出過程の検討から、水田の二次発生源としての役割を明らかにすると共に、その動態を予測しうるモデルを開発することを目的とした。 22年度前半には対象とするPOPs(19物質)の分析を行い、対象流域内の時間・空間分布を明らかにすることを試みた。過去に採取された底質の堆積物柱状試料(底質コア)と水田土壌試料について分析を行い、堆積年代の測定された底質コア試料から1950年以降から2000年にかけての上記の物質の底質への堆積状況が明らかになった。また、水田土壌試料の結果から小流域における分布を明らかにした。 この結果について、特に水田において堆積、使用量の多かった物質についてインベントリデータの整理を行い、解析期間中の環境への投入量とその残留量から総量で物質の挙動を推算し各媒体における物質の消失率を明らかにした。1947年~1971年の間の投入量に対して,ほとんどが対象流域から消失しているが、残留分についてはその大半が水田に残留していることが分かった。消失の理由として散布初期の大気への揮発や,耕作用水を介した域外への流出,分解等の事象が考えられた。また一方で農用地にはほとんど使用のない物質の残留も確認された。特に水田地域においてはPOPsが農業用水などを介し移動するため、水田と水域の相互作用による汚染があることが確認された。これに関する量的な状態の把握とモデルを用いた検討がさらに必要であると考える。
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