2011 Fiscal Year Annual Research Report
新規残留性有機汚染物質指定農薬の水田地域における長期挙動の解明
Project/Area Number |
22780296
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Research Institution | Nagano National College of Technology |
Principal Investigator |
酒井 美月 長野工業高等専門学校, 環境都市工学科, 助教 (50418688)
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Keywords | 残留性有機汚染物質 / 長期的消長 / 物質収支 / 環境挙動 / 堆積物柱状試料 / 年代解析 |
Research Abstract |
本研究では、日本でも特に広大な稲作地帯を抱える新潟市の河川流域を対象として、水田で使用された残留性有機汚染物質(POPs)の流域圏における挙動、特に水域への流出過程の検討から、水田の二次発生源としての役割を明らかにすると共に、その動態を予測しうるモデルを開発することを目的とした。 23年度には22年度の結果を受けインベントリデータと分析結果から残存量の多かった物質について流出率の検討を行った。これにより水田の二次発生源としての寄与を明らかにすることを試みた。残留量のピークから近年にかけての減衰率より環境中半減期を算出した。半減期の推定結果とその経時変化から、散布当初の初期流出(分解)と、使用停止後の流出のそれぞれを求め、それぞれが物質により大きく異なることから、残留率を律するのは環境要因のなかでも気象条件等より物質の物性による土壌との吸着傾向にある、と結論した。特に半減期の変化は、経時により土壌との吸着傾向が変化することを示しており、残留する物質の動態の検討には、物質の物性だけでなく散布からの経過時間が重要であることが明らかになった。以上より、対象とした物質のうちインベントリの確認が可能であった数種について、半減期が求められ、投入量からの残留量の推定が現状のモデルにより可能となった。 一方で本研究における残留性汚染物質のモデル化の目的は、同様に水田を抱える他のアジア地域に汎用な検討が可能になることであったため、実際の流出について検証のデータを得るため、長野県内の河川水、東南アジアよりカンボジアの河川水について対象物質を含む河川水中の化学物質の分析を行った。残留量と水域における水を介した動態の詳細把握には更にデータによる検証が必要であるが、この確認によりある程度の再現性が確認された。
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