2010 Fiscal Year Annual Research Report
枯草菌における植物由来芳香族化合物に応答した複合的遺伝子発現制御の解析
Project/Area Number |
22780306
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Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
広岡 和丈 福山大学, 生命工学部, 准教授 (20389068)
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Keywords | 発現制御 / 枯草菌 / フラボノイド / 芳香族化合物 / 土壌環境 |
Research Abstract |
LmrA/QdoRおよびYetLに加え、鉄イオン取り込み系を司るFurが枯草菌におけるフラボノイド応答性転写因子の新たな候補として見出された。組換えFurタンパク質と標的遺伝子の1つであるdhbAオペロンの制御領域に対応するDNAプローブを用いてゲルシフト解析を行い、各種フラボノイドによるFurのDNA結合の解除効果を評価した。また、同じdhbAオペロンの制御領域をlacZ遺伝子と連結した構築を枯草菌株に導入し、各種フラボノイド添加による発現誘導効果をレポーター解析で評価した。その結果、フィセチン、ケルセチン、およびルテオリンにFurによるdhbAプロモーターの抑制を部分的に解除する効果があることがわかった。構造活性相関から、フラボン骨格の平面構造と、B環3位と4位の水酸基が効果に必要であり、A環5位の水酸基は阻害的に作用することが示唆された。 QdoRに関して、その立体構造に基づきフラボノイド応答に重要なアミノ酸残基を予想し、これを確かめるために各残基をアラニンに置換したQdoR変異体タンパク質を調製し、これらのDNA結合能とフラボノイド応答性をゲルシフト解析にて評価した。その結果、QdoR内でクラスターを成すPhe87、Trp131、およびPhe135がDNA結合とフラボノイド応答に重要であることが示された。Trp131の重要性は、レポーター解析によるin vivo系でも確かめられた。 また、LmrA/QdoRの標的遺伝子の1つであるqdoIは、ケルセチンのC環開裂反応を触媒する酵素をコードするが、この発現が構成的となった枯草菌ではケルセチンに対する感受性が著しく高まり、この現象は細胞内でのケルセチン分解中間体の蓄積に起因することが示された。したがって、qdoI発現の厳密な制御がLmrA/QdoRが担う役割の1つであると考えられた。
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Research Products
(4 results)