2011 Fiscal Year Annual Research Report
枯草菌における植物由来芳香族化合物に応答した複合的遺伝子発現制御の解析
Project/Area Number |
22780306
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Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
広岡 和丈 福山大学, 生命工学部, 准教授 (20389068)
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Keywords | 発現制御 / 枯草菌 / フラボノイド / 芳香族化合物 / 土壌環境 |
Research Abstract |
枯草菌でのフラボノイド応答性転写因子の新奇候補として、鉄イオン取り込み系を司るFurが見出された。Furタンパク質と標的遺伝子の1つであるdhbAオペロンの制御領域に対応するDNAプローブを用いてゲルシフト解析を行い、各種フラボノイドによるFurのDNA結合の解除効果を評価した。これまで用いた結合反応溶液中にはEDTAが含まれていたが、EDTAにはFurのDNA結合を阻害する効果が認められ、また系にFeCl_2を添加することで阻害効果が減殺されたことから、EDTAとの錯形成によってFurから鉄イオンが脱離し、DNA親和性の低下につながったと考えられた。そこで、EDTAを除いた系を用いて再度フラボノイドの効果を検証した。その結果、フィセチン添加によってFurのDNA結合の阻害が認められたが、FeCl_2添加でその阻害効果は減殺されず、フィセチンは鉄イオンとは独立して作用することが推測された。dhbAプロモーターとlacZとを連結した構築を有する枯草菌株を用いたレポーター解析では、通常の鉄イオンを含む合成培地で培養し、フィセチンを添加することでレポーター活性の誘導が検出され、その効果は培地にFeCl_3を過剰に添加した場合でも損なわれず、in vitro系での結果を支持した。各種フラボノイドについても同様のゲルシフト解析で再評価し、既に得られたレポーター解析の結果との比較によって、フラボン骨格の平面構造と、B環4位の水酸基が阻害効果に必要であり、C環3位に水酸基があると効果が弱まることが示唆された。 枯草菌のYhbI転写因子は自身の遺伝子を含むオペロンの発現をインドール酢酸(IAA)に応答して制御することが示唆された。頭配プロモーターとlacZとを連結した構築を有する枯草菌株を用いたレポーター解析では、レポーター活性がIAA添加によって誘導され、またYhbIタンパク質とYhbIプロモーターに対応するDNAプローブを用いたゲルシフト解析によって、YhbIが自身の制御領域に結合することが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
FurのDNA結合はEDTAによる阻害を受けないとする文献報告があったが、実際に検証したところ、EDTAの阻害効果が認められたため、in vivo系でのフラボノイドの阻害効果の再評価が必要となった。
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Strategy for Future Research Activity |
Furレギュロンが特定のフラボノイドによって脱抑制されることを応用して、枯草菌との共培養による植物の鉄イオン取り込み効率の向上について検討する。実験に使用している枯草菌168株では、枯草菌が本来産生するシデロフォアであるバシリバクチンの生合成における、モノマーから3量体ラクトン構造への縮合反応を触媒する酵素の補因子が欠損しており、バシリバクチンを合成することができない。補因子合成に必要な遺伝子(sfp)を他の枯草菌株から単離して168株に導入することでバシリバクチン合成能を回復させ、この菌株とシロイヌナズナとの共培養系を用いて、特定のフラボノイドのFurレギュロンの誘導効果と、枯草菌とシロイヌナズナの鉄イオン取り込み能に与える影響を評価する。 YhbIに関して、標的遺伝子群のオペロン構成を決定し、また結合配列を決定する。YhbIに加えて標的遺伝子群の1つがコードするYhcFも転写因子であると推定されることから、YhcFもYhbI標的遺伝子群の発現制御に関与するかを検証する。また、これらの転写因子のIAAおよびその誘導体に対する応答性を評価する。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Catabolite repression of the Bacillus subtilis FadR regulon, which is involved in fatty acid catabolism2011
Author(s)
Tojo, S., Satomura, T., Matsuoka, H., Hirooka, K., Fujita, Y.
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Journal Title
Journal of Bacteriology
Volume: VOL.193
Pages: 2388-2395
DOI
Peer Reviewed
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