2011 Fiscal Year Annual Research Report
2,3,4個のベンゼン環で構成される室温で安定なヘリセンの開発と高次構造体構築
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22790003
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
相川 春夫 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 特任助教 (70547322)
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Keywords | アダマルチル / キラルナフタレン / 分子間相互作用 / 不斉認識 / ラセミ化 / ヘリセン / オルト縮環 / キラル芳香族化合物 |
Research Abstract |
ねじれたπ平面を有する新規芳香族化合物の合成なかでも誘導体化を目的に研究を行った。まず、1,8-ジ(1-アダマンチル)ナフタレンの3,6-位にブロモ基、ホルミル基を導入した後に、次亜塩素酸酸化によってジカルボン酸を合成した。次に、ジホルミル化合物をビス(アミノメチル)体に変換した。アンモニアによって直接変換する方法は良い結果を与えなかったので、段階的方法を検討した。ラセミ体1,8-ジ(1-アダマンチル)ナフタレンジアルデヒドにヒドロキシアミンの塩酸塩を作用させると、ジオキシムを収率よく与えた。この脱水を検討した結果、塩化チオニルよりもトリクロロイソシアヌル酸を用いると収率よくジニトリルを与えた。酸性条件下で、パラジウム触媒存在下で水素化を行うことによって、ビス(アミノメチル)体二塩酸塩を結晶として得た。同様の方法で光学活性体を合成した。ジカルボン酸およびジアミン塩酸塩いずれもラセミ体と光学活性体で200℃以上の融点を与えたことから、結晶中での分子間相互作用が極めて強いことがわかった。これは溶液中でも同じような結果を与えると考えられる。カルボン酸とアミンを水溶液中で混合して会合体を形成し、不斉認識現象を観測する試みは成功しなかった。前年に合成した1,10-ジ(1-アダマンチル)フェナントレンについて光学活性体を合成した。予想通りに室温では全くラセミ化しないことを確認した。従来のヘリセン化合物はオルト縮環化合物のオルト芳香環の立体障害を利用したものであったのに対し、今回の合成はオルト縮環でないねじれたキラル芳香族化合物を与える一般的な手法になる。
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Research Products
(2 results)