2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22790006
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
濱嶋 祥就 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 助教 (90456591)
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Keywords | 環状デプシペプチド / 有機合成 / 有機触媒 / 不斉合成 |
Research Abstract |
不斉合成法はこの30年間で長足の進歩を遂げ、現代有機合成化学には必要不可欠なツールとなっている。本研究では有機触媒を含めた不斉合成法を活用して異常アミノ酸を多く含む天然由来環状デプシペプチドの効率的な合成法の開発を目的としている。標的としているのは新規抗HIV活性を有するHomophymine Aと抗結核菌活性を有するLydiamycinである。これらは種々の異常アミノ酸を有し、有機触媒不斉合成法の格好のターゲットである。 Homophymine Aの合成では、まずHomophymine Aに含まれるすべての異常構成成分を合成した。合成した異常アミノ酸を順次縮合させ、環状部分の合成に成功した。残るは側鎖Lydiamycinの合成では、異常構成成分であるペンチルスクシン酸、ピペラジン酸の立体異性体をそれぞれ不斉水素化反応、プロリン触媒による不斉ヒドラジン化反応を用いて作り分けることに成功した。(R)-ピペラジン酸を含む環状部分を合成し測鎖を導入することで、単離したグループにより提唱された構造を合成することに成功した。しかし、各種スペクトルは一致せず、構造決定に誤りが有ることが示唆された。そこで、(S)-ピペラジン酸を含む環状部分を合成したところ、天然のLidiamycin Aとより近いNMRスペクトルが得られた。このことから、Lydiamycine Aに含まれるピペラジン酸の立体化学をRと推定することができた。側鎖部分を導入し全合成を達成すれば正しいLydiamycine Aの立体配置を決定することができると考えられる。
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