2011 Fiscal Year Annual Research Report
触媒的不斉シクロヘキサノン融合型複素環合成法の開発
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22790007
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
原田 真至 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 助教 (10451759)
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Keywords | Diels-Alder反応 / ヒドロカルバゾール / ランタノイド / 触媒的不斉反応 / ビスチオウレア型配位子 |
Research Abstract |
光学活性ヒドロカルバゾール合成法について反応条件の改良を行い、収率と立体選択性の改善を行った。特に、基質として用いるシロキシビニル置換インドールの化学的安定性に関する系統立てた情報を集めることができ、化学的に安定な形で合成・単離・精製できる方法論を確立した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製が可能となった点は大きな進歩である。続く目的のDiels-Alder反応は、申請者が開発した触媒によって基質の活性化が効率的に起こるため、付加体は定量的に得られる。また、反応条件検討の過程で新規bis-thiourea型の配位子を開発した。本配位子は従来のbis-urea型の配位子と比べて、目的の反応を劇的に加速させるだけでなく、不斉収率も向上させる。現在までのところ最高64%eeにて目的物を得ている。既に数種の配位子誘導体を合成しており、今後もライブラリーを拡充していく予定である。 生成物の変換反応については、エノールシリルエーテル部位の修飾を重点的に検討した。フッ化物イオン存在下、各種アルキル化剤を作用させることで、目的のアルキル化体を高収率、高立体選択的に得ることに成功した。この反応により不斉四置換炭素を構築することができたため、aspidospermidine誘導体やストリキニーネの全合成へと繋げるための難関の1つを解決できたと考えている。現在は基質一般性の拡大とアシル化等他の官能基導入法の開発に向けて検討を行なっている所である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
鍵となる光学活性ヒドロカルバゾールの合成法はいまだ不斉収率が中程度であるものの、目的化合物を定量的に得られる方法論にまで昇華することができた。付加体は再結晶により光学的にほぼ純粋にできることを確認している。生理活性物質の全合成に向けた変換反応についても検討を開始しており、既に不斉四級炭素構築に成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
不斉触媒反応の立体選択性をさらに改善するためには不斉配位子の継続的な改良が必須である。bis-thiourea型配位子が現在のところ最良の結果を与えているが、必ずしも対称な構造ではなくても同程度の立体選択性を発現することがわかっている。非対称デザインも積極的に検討していく。全合成研究については不斉四級炭素の構築には既に成功しているが、その他の官能基変換と縮環構造構築については情報がない。多角的に合成戦略を検討することにする。
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Research Products
(2 results)