2010 Fiscal Year Annual Research Report
光学活性プロパルギルアジド誘導体の合成を目的とした不斉ニコラス反応の開発
Project/Area Number |
22790008
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
田中 弘之 金沢大学, 薬学系, 助教 (40378873)
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Keywords | 有機合成 / 不斉反応 / 4級炭素構築 / ニコラス反応 |
Research Abstract |
プロパルギル位に不斉を持つ光学活性プロパルギルアジド誘導体の新規不斉合成法の開発研究を目的として,Nicholas(ニコラス)反応(アルキン-Co_2(CO)_6錯体から発生するプロパルギルカチオンの求核剤捕獲反応)を利用した新規不斉合成法の開発を行った。本手法による不斉発現はプロパルギルアルコール,TMS-アジドだけでなく様々な基質・求核剤に適用可能であり,またカルボカチオンを経由する反応であることから汎用性の高い4級不斉炭素構築法としての応用が期待される。 本年度は不斉Lewis塩基触媒によるエナンチオ選択的Nicholas反応の開発に向けてLewis酸・Lewis塩基・求核剤の組み合わせによる反応性と反応律速段階の解明を行う中でLewis塩基に着目した反応性の解明を行った。カチオン中間体を発生させるLewis酸にはNicholas反応に汎用されているBF_3・Et_2Oを使用し,カチオンと複合体を形成するLewis塩基にはスルホキシド,3級アミン,3級ボスフィン,N-オキシド,P-オキシド,求核剤にはTMS-アジドを用いて反応性について検討を行った。 来年度は得られた知見をもとに不斉Lewis塩基を設計し,不斉Lewis塩基-プロパルギルカチオン複合体形成を経由するエナンチオ選択的反応の開発に着手する予定である。またLewis酸-求核剤複合型触媒を用いた擬似環化反応を経由する立体特異的反応不斉Nicholas反応についても検討を行っていきたい。
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