2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22790010
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
滝澤 忍 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (50324851)
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Keywords | ナノ粒子 / 固定化触媒 / 不斉触媒 / 高分子 / ドミノ反応 / 有機分子触媒 / アザ-MBH反応 / アザ-マイケル反応 |
Research Abstract |
天然酵素触媒は、pHや温度に対する依存性が大きく失活しやすい,大きな分子量にも関わらず反応に関与する触媒サイトが酵素分子中に一ヶ所のみといった問題がある。本研究では、申請者がこれまで展開してきた「簡易合成ナノ粒子」と「二重活性化型不斉触媒」とを融合し、天然酵素触媒の問題を克服した高活性人工酵素触媒『ナノザイム』の創製を目指した。 『ナノザイム』創製の鍵となる球状ナノ粒子の構築には、表層に水酸基を密に有するナノ粒子を合成して,そこに触媒を導入する手法を検討した。界面活性モノマーが形成する球状ミセルを重合反応により不可逆的に固定化する方法を検討した結果、水溶媒中、光重合剤を用いることで分子量27000の球状ナノ粒子を合成できた。また、金属と多座配位子の錯形成を利用する金属架橋型高分子不斉触媒研究では、螺旋型高分子不斉触媒の開発に成功した。現在、螺旋構造の詳細な解析と触媒活性の確認を行っている。 ドミノ反応は、一度の操作で複数の連続する反応が進行して生成物が得られる。不安定な反応中間体を単離する必要が無く、使用する試薬や溶媒の量を削減できるなどの利点を有する。申請者は,触媒分子に酸性および塩基性官能基を導入した二重活性化型有機触媒により、アザ-MBH反応を高エナンチオ選択的に促進することに既に成功している。今回、球状ナノ粒子表層に導入する二重活性化型有機触媒について、その構造と、固定化後、適用するドミノ反応について検討を行った。その結果、アザ-MBH/アザ-マイケル/アルドール/脱水反応の4つの反応が連続的に進行して、テトラヒドロピリジン誘導体を高エナンチオ選択的に与える反応を見出した。さらに、有機触媒が促進する連続反応として、アザ-MBH反応に続く分子内アザ-マイケル反応からなる不斉ドミノ環化反応を確立し、多官能性イソインドリンを効率的に合成することに成功した。
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