2010 Fiscal Year Annual Research Report
複数の金属触媒を活用したジオール類の選択的変換反応の開発と応用
Project/Area Number |
22790013
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
栗山 正巳 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (40411087)
|
Keywords | ジオール / 銅触媒 / アリール化 / カルベン / ハイブリッド型配位子 |
Research Abstract |
糖類をジオール類の集合体と見なし、モデル基質として1,3-ジオールを用いて不斉非対称化の検討を行った。種々条件最適化を行ったところ、触媒としてBox配位子から調整したキラル銅錯体、保護基としてトシル基を用いたときに最も優れた結果を与えた。本触媒系は、ルイス酸が不得手とする含窒素型基質を用いても影響を受けず、良好な反応促進能と不斉誘起能を両立して達成した。ほぼ完壁なエナンチオ選択性で得られた生成物に対してさらなる化学変換を行い、天然物化合物の既知合成中間体へと誘導した。以上から、糖類の水酸基を効果的に認識して変換し得る不斉ルイス酸の基盤構築に成功した。今後、さらなる検討を経て実践利用できるものへと進化をはかる。 次いで、反応開発のもう一方の要である準安定二座型配位子の性能および特性に関する検証を行った。副配位部にチオエーテルを有し、含窒素複素環カルベンを母核とするC-S二座型配位子を用いてパラジウム触媒によるアルデヒドのアリール化反応を水中で試みたところ、優れた触媒効率と基質一般性を与えることを見いだした。本反応は、副溶媒や相関移動触媒などの添加を必要とせず、反応効率が溶液濃度による影響を受けにくいという特徴を示した。また、グラムスケール合成においても問題が生じることなく優れた結果を与えた。以上の結果から、本触媒系は実用的応用を試みる際に必要とされる種々の特性を備えているということが明らかとなった。
|