2011 Fiscal Year Annual Research Report
固定化金触媒の創製と複素環化合物の効率的ドミノ型合成への応用
Project/Area Number |
22790015
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
江木 正浩 静岡県立大学, 薬学部, 講師 (80363901)
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Keywords | 合成化学 / 触媒・化学プロセス / 環境調和 / 遷移金属触媒 / 複素環化合物 / 連続反応 |
Research Abstract |
多置換複素環化合物の合成において、従来法のほとんどが多段階を必要とし、置換基の多様性、導入位置の制御及び収率などの点において問題があった。一方、分子内連続反応は一挙に複数の結合形成かつ原子効率も高いため、環境に対して低負荷で大量合成容易な実用的合成法である。また、置換基の高い位置制御が実現できるため、医薬品探索及び機能性素材開発において威力を発揮する。 本研究で多置換複素環の環境低負荷な合成法を確立するために、著者はより温和な条件で分子内反応を触媒するカチオン性金化合物の利用を考え、(1)回収容易・長寿命な固定化金触媒の創製、(2)合成した固定化触媒による、連続反応を鍵とする環境低負荷な複素環合成法の開発に取り組んだ。平成22年度の研究では固定化カチオン性金触媒の合成に成功し、回収・再利用及びフローリアクターへの利用を実現した。本年度は開発した固定化触媒を用い、多置換型複素環の合成法を開発する過程で、以下のような結果が得られた。 1)カチオン性金触媒存在下、エトキシアセチレンとプロパルギルアルコールを室温で反応させると、付加反応及び[3,3]-シグマトロピー転位が連続して進行し、多置換アレン化合物を合成することができた。さらに収率向上を目指し反応条件を精査した結果、触媒としてAgOTf、エトキシアセチレンの代わりにイナミドを使用した場合でも、本連続反応は良好に進行し、3時間以内に多置換アレンが54-77%で得られた。また、使用したプロパルギルアルコールの点不斉が、得られるアレンの軸不斉に完全に転写されるという興味深い結果も見出した。 2)Dで得られた四置換アレンの分子内環化反応を検討した結果、カチオン性の白金触媒を用いると多置換型のβ,δ-不飽和-δ-ラクトン類が収率良く得られることが分かった。また、DBU処理により二重結合の異性化が進行し、α,β-不飽和-δ-ラクトンへ定量的に変換できた。
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Research Products
(2 results)