2011 Fiscal Year Annual Research Report
擬アミナール構造を有するアパリシン類の不斉全合成と抗マラリア薬の創製
Project/Area Number |
22790017
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
廣瀬 友靖 北里大学, 大学院・感染制御科学府, 准教授 (00370156)
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Keywords | 天然物 / 抗マラリア活性 / アパリシン類 / ヒドロキシアパリシン / インドールアルカロイド / ワンポットカスケード反応 / 擬アミナール / 不斉全合成 |
Research Abstract |
マラリアは熱帯・亜熱帯地域に広く蔓延しており、その薬剤耐性原虫の出現が報告されていることからも、新規な抗マラリア剤の開発が求められている。その様な背景のもと、北里研究所において天然物ライブラリーを対象とした抗マラリア活性化合物探索スクリーニングを行った結果、南アフリカ原産植物Tabernaemontana elegansより単離され(+)-Hydroxyapparicinに薬剤耐性マラリア原虫に対し、強力な抗マラリア活性を有することが新たに発見された。(+)-Hydroxyapparicineの相対構造は詳細なNMR実験により決定されているが、絶対構造は未決定である。今年度はApparicine類の合成に有効な新規ワンポットカスケード型環構築法を開発し、(+)-Hydroxyapparicine(1)の初の不斉全合成を達成した。 研究代表者はHydroxyapparicine類の有する不安定な擬アミナールを合成最終段階において一挙に構築する4反応を組み合わせたカスケード反応を計画した。 最終段階のカスケード前駆体では各種不斉反応を利用し光学活性に基質を効率的に調製出来る方法を確立した。そして擬アミナールを含む6,8員環の構築では、分子内N-アルキル化の際の脱離基として3-ニトロピリジン基が最適であることを見出した。 鍵反応であるカスケード反応は、まず中性条件下PPh_3を用いて、イミノホスホランを生成させた後にHCHOを加え、イミドへと変換した。続いて反応溶液を酸性条件にすることで、分子内N-アルキル化による6員環イミニウムの生成及びMannich反応が進行し、(+)-Hydroxyapparicineを得た。得られた生成物の各種機器データは報告されている天然物のデータと良い一致をしたことで、これまで不明であった天然物(+)-Hydroxyapparicineの絶対立体構造を決定した。また、合成した化合物の抗マラリア活性を確認し、本ターゲット分子にマラリア活性を有することを証明した。
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Research Products
(10 results)