2010 Fiscal Year Annual Research Report
逆電子要請型Diels-Alder反応を利用した複雑な天然有機化合物への挑戦
Project/Area Number |
22790022
|
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
鈴木 孝洋 東京理科大学, 薬学部, 助教 (80367052)
|
Keywords | 天然物合成 / 逆電子要請型Diels-Alder反応 / 生合成模倣 / かご状骨格 / 超高圧反応 / masked o-benzoquinone |
Research Abstract |
本研究では、今までに例のない複雑な炭素骨格を持つ天然有機化合物の短工程かつ高効率的な全合成を目的として研究を行った。標的化合物としてクロロププケアナニン及びアトロプルプランを設定し、それらの複雑な籠状炭素骨格の構築にはmasked o-benzoquinone (MOB)を用いた逆電子要請型Diels-Alder (REDDA)反応を適用した。 アトロプルプランの合成研究は、まずtetracyclo[5.3.3.^<4,9>0峨^<4,11>]tridecane骨格構築について行った。グアイアコールからアリル基を有するテトラロンを合成し、酸化的脱芳香環化によってMOBを種々合成した。それぞれ分子内REDDA反応の検討を行い、骨格構築に最適な基質及び条件を見出した。さらに、得られた4環性化合物から更なる構造変換を行うことで、アトロプルプランの持つ全ての炭素骨格の構築にも成功している。クロロププケアナニンの高度に官能基化されたtricycio[4.3.1.0^<3.7>]decane骨格は、iso-A82775Cとペステ酸の分子間REDDA反応と分子内carbonyl-ene反応により生合成されている。既に単純な基質を用いて、超高圧下の分子間REDDA反応及び酸性条件下での分子内carbonyl-ene反応による骨格構築に成功しているが、選択性等において依然として課題が残っている。そこで、より生合成前駆体に近いモデル化合物を合成し、分子間REDDA反応の検討を行ったところ、単純な基質よりも収率及び選択性が向上したという知見が得られた。現在、反応条件の精査と生成物の構造決定を行っている。また同時に生合成前駆体の合成も着手した。ペステ酸の合成はSmiles転位を鍵反応とすることで、多置換フェノールのジアリールエーテル化を達成している。iso-A82775Cの合成と生合成前駆体を用いたREDDA反応は次年度の課題である。
|
Research Products
(4 results)