2010 Fiscal Year Annual Research Report
ルイス酸触媒による直接的アミンのアリル化反応の開発
Project/Area Number |
22790023
|
Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
河井 伸之 京都薬科大学, 薬学部, 助教 (10411034)
|
Keywords | 合成化学 / ルイス酸 / 薬学 / 有機化学 / 触媒 |
Research Abstract |
ルイス酸としてビスマストリフラートを用いたアミンの触媒的分子内アリル化反応の開発を目的として、1、3-不斉転写を介した光学活性1位置換テトラヒドロイソキノリン誘導体の合成法の基質一般性について検討した。 無置換体の環化反応で最適化した条件で、種々の基質に対し環化反応を試みた。アルケニル基に対しベンゼン環上のパラ位にメチル基やクロル基を有する基質では、反応は円滑に進行し、6位置換環化体をそれぞれ高収率かつ高い不斉転写率で与えた。しかしながら、メトキシ基を有する基質では、99%の収率で環化体が得られたもののラセミ体であった。また、水酸基を有するにおいても同様の結果を与えた。一方、メタ位にメトキシ基をもつ基質の環化反応では、収率82%、95:5の選択比で7位置換環化体を得ることができた。6位に水酸基やメトキシ基を有する環化体がラセミ体として得られた原因は、電子供与性置換基により共鳴安定化効果を受けたカルボカチオン中間体の形成であると考えられる。一方、7位にメトキシ基を有する基質への環化反応では、カルボカチオンの形成を経由すること無く進行し、高い不斉転写率が達成できたと考えられる。6位に酸素官能基を有する生成物への環化反応の必要性から、パラ位水酸基をエステル化した基質について検討した。その結果、92:8の選択比、収率67%で、環化体を得ることが出来た。さらに、6位をピバロイルオキシ基、7位をメトキシ基として本環化反応をおこなえば、目的のテトラヒドロイソキノリン骨格が合成できると考え、環化反応を試みたところ、94:6の選択比、収率79%で環化体を合成できた。合成した環化体から、テトラヒドロイソキノリンアルカロイドである(+)-trollineおよび(-)-crispine Aの合成を達成し、本反応の有用性を明らかにした。
|