2011 Fiscal Year Annual Research Report
ルイス酸触媒による直接的アミンのアリル化反応の開発
Project/Area Number |
22790023
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
河井 伸之 京都薬科大学, 薬学部, 助教 (10411034)
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Keywords | 合成化学 / ルイス酸 / 薬学 / 有機化学 / 触媒 |
Research Abstract |
キラルな2級アリルアルコールの水酸基を脱離基とした分子内アミノ置換反応に於いて、原料の不斉炭素が生成物の不斉炭素へ「不斉転写」されることで、光学活性な1位置換テトラヒドロイソキノリン類の新規合成法を開発した。ルイス酸であるビスマストリフラートBi(OTf)_3が環化反応を有効に触媒させるが、ベンゼン環上の置換基の種類が生成物の収率および不斉転写率に大きく影響することを明らかにした。 合成法としての有用性を示す目的で、3つの1位置換テトラヒドロイソキノリンアルカロイドの合成を達成した。これらのアルカロイドはベンゼン環上の6位と7位に水酸基やメトキシ基を有することから、エステル系酸素官能基に誘導した環化前駆体を反応条件に附すことで高い不斉転写を発現できた。また、アリルアルコールの不斉中心における立体配置のSとRを使い分けることで、1位にSまたはRの不斉中心を有するテトラヒドロイソキノリン骨格を選択的に作り分けでき、アルカロイド合成に応用できた。 しかしながら、Bi(OTf)_3触媒を用いた環化反応では、次のような問題点があった。1、比較的高価なBi(OTf)_3無水物は水分に不安定であり、このため無水の溶媒やMS-4Aなどの脱水剤を必要とし、不活性気体中で反応を行う必要があった。2、Bi(OTf)_3の塩化メチレン溶媒への溶解性が低いために、希釈条件下で反応を行う必要があった。3、高収率および高い不斉転写率を与えるには、低温を必要とした。 これらの問題点を解決するために更なる検討を重ねた結果、60-70%の水溶液として市販されている安価な過塩素酸が、ビスマス金属に置き換わる触媒として機能することを見出した。さらに、Bi(OTf)_3では中程度の不斉転写率しか示さなかった8位置換テトラヒドロイソキノリン環の構築において93:7の光学純度で環化体を合成することに成功した。
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Research Products
(3 results)