2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22790027
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Research Institution | Kobe Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
沖津 貴志 神戸薬科大学, 薬学部, 助教 (50441209)
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Keywords | ヨード環化反応 / 複素環 / 酸化 / ヨウ素 / ピラゾール / イソキサゾール |
Research Abstract |
1価のヨウ素試薬には「ヨード化能」と「酸化能」の2つの性質を併せ持つにも拘らず、従来のヨード環化反応では前者の特性のみに焦点を当て、後者の性質をも利用した反応については皆無であった。今回私は、5-endo-dig型のヨード環化反応を機軸とした新たなプロジェクトとして、ヒドラジン類を求核種とするヨード環化反応を通してヨウ素試薬の「酸化能」の制御が可能かについて検討した。その結果、I(coll)_2PF_6で処理すると2,5-ジヒドロピラゾールのみが得られるのに対し、NIS/BF_3・OEt_2組み合わせ条件で反応を行うとヨード環化反応と酸化的芳香化が一挙に進行したピラゾールが一方的に得られることを見出した(Org.Lett.2010,12,3506)。本ヨード環化反応は反応条件により酸化的芳香化を制御した初めての例である。また本手法は、共通の基質から2種の化合物を作り分けできる点で系統的合成の観点からも効率的である。そこで本コンセプトの適用範囲の拡張を狙い、ヒドロキシルアミン類を基質としてヨード環化反応を検討したところ、先と同条件にて2,5-ジヒドロイソキサゾール及びイソキサゾールを選択的に合成できることも明らかにした(J.Org.Chem.2011,76,3438)。なお本法はこれまでに報告例のない多置換2,5-ジヒドロイソキサゾール合成法の初めての例であり、今後の医薬品業界にまさに革新をもたらし得る。そこで本反応の更なる有用性を示すため、COX-2阻害薬valdecoxibとその2,5-ジヒドロ体の合成に応用し、これを実証した。
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Research Products
(17 results)