2011 Fiscal Year Annual Research Report
血中主要タンパク質の非酵素的翻訳後修飾の定量的プロファイリング法の構築
Project/Area Number |
22790032
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
後藤 貴章 東北大学, 大学院・薬学研究科, 講師 (40344684)
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Keywords | 非酵素的翻訳後修飾 / 質量分析法 / イムノアフィニティー抽出 / MALDI / 血中タンパク質 / 血清アルブミン |
Research Abstract |
タンパク質は、体内で発生する各種の化学的ストレスにより多様な非酵素的翻訳後修飾を受ける。こうした修飾を受けたタンパク質は、生体の化学的ストレスあるいはそれらの関与する病態のマーカーとしての利用を期待できる。特に、血液中の主要タンパク質である血清アルブミンは、全身を循環する間に受けた様々な化学修飾の情報を有していると考えられる。そこで、本研究ではヒト血清アルブミン(HSA)を対象とした網羅的な化学修飾分析を行うべく、各種の活性化学種による被修飾部位の解析を行った。まず、HSA標品を用いて、特異性の異なる二種の消化酵素並びに、MALDI-TOF/MSにおける正/負イオンモードの併用によって検出ペプチドの全配列に対する配列カバー率の向上を図った。次いで、各種の活性化学種と反応させ、上述の方法により修飾部位の解析を行った。さらに、活性化学種の濃度を変化させ、同様にその修飾解析を行った。トリプシンとV8を用いて消化したペプチドを、それぞれMALDI-TOF/MSで正イオンモード及び負イオンモードで測定することにより、HSAの全配列に相当するペプチドを検出可能であった。また、本条件を用いて各種修飾反応に付したHSAを分析し、酸化、糖化、ニトロ化及び4*HNE修飾を含むペプチド断片を検出可能であった。さらに、低濃度の活性化学種存在下では被修飾部位が限定された。これらにより、RSAの化学的ストレスによる被修飾部位が明らかとなった。また、低濃度の活性化学種存在下での修飾解析により、修飾を受けやすいと考えられる複数の部位を特定した。これらの結果は更に定量的な解析手法の導入によって血中化学修飾HSAをターゲットとした化学的ストレスのバイオマーカー探索へ応用できると考えられる。
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