2010 Fiscal Year Annual Research Report
細胞表面接着型インターフェロンを利用した標的特異的作用型遺伝子治療システムの開発
Project/Area Number |
22790034
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高橋 有己 京都大学, 薬学研究科, 助教 (00547870)
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Keywords | 遺伝子治療 / インターフェロン / 薬学 |
Research Abstract |
インターフェロン-γ(IFNγ)は強力かつ多彩な生理活性から、癌やウイルス感染などに対する有効な治療薬として期待される。IFNγを持続的に発現するベクターの開発により慢性疾患への応用が進められるが、IFNγが標的部位以外に移行することによる重篤な副作用が懸念される。本研究では細胞表面に高い接着能を持つIFNγ誘導体を新たにデザインし、これを発現するプラスミドベクターを用いてin vivo遺伝子導入を行なうことで、遺伝子導入部位でのIFNγ濃度を選択的に高め、治療効果の増強と副作用の軽減が可能なシステムの開発を目指した。細胞外マトリクスに親和性を有する構造として、extracellular superoxide dismutase由来C末端ヘパラン硫酸結合ドメイン(HBD)、あるいはCD8分子由来細胞膜貫通ペプチド(TMD)を選択し、それぞれとIFNγとの融合タンパク質発現プラスミドベクターを構築した。各プラスミドベクターを用いて培養細胞に遺伝子導入したところ、設計通りにIFN誘導体が細胞表面に滞留することが確認された。そこで、各融合タンパク質発現ベクターをハイドロダイナミクス法を用いてマウスに遺伝子導入したときの肝臓におけるIFNγ生物活性の指標として、IFNγによりそのmRNA発現が誘導されるSOCSlやOASのmRNA発現量を定量した。その結果、HBD融合IFNγは比較的高いIFN生物活性を示したが、TMD融合IFNγはほとんど生物活性を示さなかった。これはそれぞれの融合タンパク質の局在性の違いにより、IFN受容体との相互作用に関する効率が異なったためと推察された。一方、天然型IFNγ発現ベクターを投与した時と比較して、融合タンパク質発現ベクターを投与した際の血中IFNγ濃度は非常に低かったことから、HBDを用いることでIFNγ濃度を遺伝子導入部位である肝臓で特異的に増大することに成功した。
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